しんのすけ「シロ…！？」
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みさえ「こら～！！！しんのすけぇ！」
聞き慣れたみさえの声
今日もしんのすけはドタバタと家を走り回っている。
みさえはシロにドッグフードをやり、すぐに洗濯をしていた。
みさえは時間を見てしんのすけに言う
みさえは「しんちゃあーーん！！シロの散歩に連れて行ってあげてえ！！」
しんのすけ「えぇー？今日はシロも行きたくないっていってるよおー？」
みさえ「そう言って何回シロの散歩が出来てないと思ってるのよ！シロが可哀想よ！」
しんのすけ「もおぉ...しかたないなぁ！」
さすがに面倒くさがり屋のしんのすけでもシロが可哀想と思ったのだろう。すぐに外に出てくれた。
さ、これで安心して洗――
しんのすけ「か、かあちゃん!!!!」
みさえ「んー？なにー？」
しんのすけの方を振り返らずに洗濯をしていた。
どうせなにかしょうもない話をするのだろう。そう思っていた。
しんのすけ「シロが!!!!」
みさえ「んー？」
みさえが振り返ると、そこには
だらぁーと横になって、辛そうに荒く息をしているシロがいた。 みさえ「ッ！？」
持っていた服を捨て早歩きでしんのすけの方に向かった。
しんのすけ「シロが…」
しんのすけが珍しく心配そうな顔をしている
みさえ「…とりあえずすぐ病院に行きましょう。しんちゃんは車に乗る準備をしといて。」
シロとひまわり、そしてしんのすけを車に乗せ、すぐ動物病院へ向かった
医者「運動不足による呼吸疾患ですね。」
しんのすけ「え…」
医者「最近散歩に行かせてなかったりしましたか？」
みさえ「はい...大体1週間前から...」
医者「1週間前までは、毎日散歩に行かせてましたか？」
みさえ「…行かせてない時もありました…」
みさえ「シロは…なんとかなるんですよね！？」
医者「それが…普通の呼吸疾患は、ストレッチや咳止めなので解消できるのですが、この子は思った以上に呼吸疾患が進んでしまっていて…最悪、呼吸困難になってしまう可能性があります。」
みさえ「そんな…」
どうしてドッグフードをあげているときに気付かなかったんだろう。自分を殴りたかった。
しんのすけが青ざめている。こんな顔は初めて見た。
医者「とにかく、この子は入院させなければなりません。
…それと――」
みさえ「!!!!」
みさえ「…分かりました…」
車の中 ひまわりの声だけが聞こえていた
しんのすけはうつむいている。ちゃんと散歩に行かせてなかった自分のせいと、自分自身を責めているんだろう。
夜、ひろしが慌てて帰ってきた
ひろし「シロは！？シロはどうなった！？」
みさえ「かなりの重症だって…それと……………長く生きても1年しか生きられないって…」
ひろし「そん…な」
そして突然、コップが落とされた音がした。
みさえが振り返ると、今にも死にそうな顔をしたしんのすけがいた みさえ「!!!」
ひろし「しんのすけ…」
みさえはシロの余命申告をしんのすけに言えなかった。
言ってしまったら、どれだけ自分を責めるだろうと、怖くなったからだ
しんのすけ「うそだ…うそだああ！」
しんのすけは走って寝室の方へ走っていった。
みさえ「しんちゃん…」
みさえは寝室に向かうと、しんのすけは布団に被さっている。
ズキッ
最悪の事態になってしまった。
みさえは何も言えなかった。
次の日、しんのすけは幼稚園を休んだ。
昼になっても、しんのすけとはまだ一言も喋れていなかった
掃除中、電話の音がなった。
プルルルルルルルルルルルル
みさえ（まさか…ね…）
みさえ「はい、野原です…」
電話「野原さん!!シロくんの容態が!」
みさえ「!!!」
みさえは受話器を落とした。 今すぐ病院に行かなければならないのに、みさえは迷ってしまった。
今にも死にそうな顔をしているしんのすけに、シロの容態がひどくなったといったらどんなに辛いだろう。
いや、違う
シロが大好きだからあんな顔になるのだろう。
もしシロの最期を隣にいられずに終わってしまったら、もっと悲しむに違いない。
みさえ「しんちゃん。」
優しく言った。
病院についた。車から降りると、しんのすけが走って病院の扉の方へ向かっていった。
みさえもひまわりを抱っこし早歩きで扉の方に向かった。
看護師「少々お待ちください。」
なにを言ってるんだ。一秒でも速くシロの方へ行かなきゃいけないのに。
みさえが怒鳴ろうとした瞬間
しんのすけ「なにいってるの!!!!!!速くシロの方へいかせて!!!!!!」
５歳とは思えない迫力で、大人のみさえでも少し怖かった
看護師「は、はいいい！」
看護師「こちらです…」
部屋の扉を開ける。そこには、
腕には点滴をされて、口には呼吸器がついているシロの姿があった。
しんのすけ「し…ろ？」
しんのすけは膝から崩れ落ちる。
みさえ「うそでしょ…そんな…そんな…」
医者「…急激に容態が悪化しました。最善は尽くしたのですが…今日の夜までには恐らく…」
しんのすけ「おねがい!!!!シロを助けてよ!!!!いい子にするから!!!!」
医者「ごめんなさい…もう…シロ君は…」
その時、シロは目を覚ました
みさえ「シロが！起きた!!」
医者「！？馬鹿な！目を開ける体力もないはずなのに！」
しんのすけ「シロぉ!!!」
しんのすけ「いなくなったりしないよね!!また元気になるよね!!!」
しんのすけには大粒の涙が流れている。
みさえもいつの間にか泣いていた しんのすけ「？…シロが目を開けたり閉じたりしてる…？」
医者「え？…!!!!!!!!」
医者「いや…そんなまさか…犬が…？」
みさえ「どうしたの先生!!!なにかあったんでしょ！？教えてよ！！」
医者「…この目を閉じたり開けたりしている動作、モールス信号とマッチしてるんです。…」
嘘だと思えなかった。なぜたろうか。シロがまるで“気付いて!!”という顔に見えるのだ。
恐らくしんのすけも同じだろう。
しんのすけ「なんて言ってるの！？教えて！」
医者「えっと…」
「い」
「ま」
「で」
「あ」
「り」
「と」
「う」
不自然な所もあるが、しんのすけとみさえはすぐに分かった。
「いままでありがとう」
と。その直前
ピーーーーーーーー 看護師「心電図が!!!」
医者「電気ショックを使う!二人は少し離れて！」
ウウウウウッボンッ
ウウウウウッボンッ
ピーーーーーーーー
医者「……2020年、6月23日、野原シロ死亡確認…」
しんのすけ、みさえ「ああぁあぁあ!!!!」
ひろしにも全てを話した。ひろしはシロの隣にいれなかったぶん、とても辛いだろう。
今日は皆速く寝た。なにも考えたくないから。
その夜、全員夢を見た。前にはシロがいて、シロの手には紙を持っている夢、全員同じ夢を見たが、一部違った。シロが持っていた紙の内容。それが
ひろしは『大丈夫！いつでもあなたたちを見てるから、全く寂しくないよ！夢の中でいつでも会えるからね！』
ひまわりは『ひまわりちゃん、大きくなったら、親を助ける、そんな優しい人になってね！夢でいつでも会えるよ！』
みさえ『いろんな世話をしてくれてありがとう！しんちゃんが落ち込んでいたら、慰めてあげてね！夢でいつでも会えるから！』
そしてしんちゃんは『いままでとっても楽しかったよ！ありがとう！いつでもしんちゃんを見てるよ！夢でいつでも会えるからね！』
みさえ「しんちゃあん！行ってらっしゃーい！」
しんのすけ「ほいほぉーい！」
みさえ「ほら！ひまわりも速くいかないと遅刻するわよ！」
ひまわり「もおーぅ、分かってるよおー」
みさえ「ほらパパも！」
ひろし「えぇー、めんd」
みさえ「行け」ｷﾞﾛｯ
ひろし「はいいいい！」
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