「……」
「なにか言いたそうだけど何よ?」
「いや、まず食べてみる。モグッ……うん。残念だけどこれはステーキじゃないよ」
「?」
「これは肉の塩焼きだ。まず、このステーキの切り口を見てくれ。
ウェルダンを超えて焼いてるよね?
ステーキの焼き加減は、ぼくはミディアムレアが好きなんだけど好みもあるからそこは言わないよ。
切った時にウェルダンだと2mmまでが焦げた色になる。
内部まで焦げ色になるのはウェルダンじゃないよ。
多分、油が多すぎるから揚げたようになってるか火が強すぎるんだと思う」
「……」

「そして苦みがある。ウェルダンの場合は仕上げに表面を擦る。焦がしても焦げを感じさせないからウェルダンはステーキとして完成してるんだ。
あと焼いてる途中にワインを入れてないよね?ジューシーさがなくただ苦みが残る。その苦みを誤魔化すための過剰な塩、これはステーキへの冒涜だよ?」
「……」

「あとは塩コショウでいくにしても、バジルは散らすべきだよ。脂っこさがひどい」
「黙れ!自分で作れ!!!」


ひどくね?