佐天「人間が破裂する能力か〜」
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佐天「能力に目覚めたよ」
初春「本当ですか!? おめでとうございます! それでどんな能力なんですか?」
佐天「うん、人間が破裂する能力なんだ」 上条「…………………」
絶句した。
牢屋に入りたくないから……?
自分の人生を終わらせたくないから……?
だからこんな最悪な事態を引き起こしたっていうのか?
いったい何を言ってるんだコイツは?
夢でも見てるのか? 佐天「これでこの地球上で生きとし生ける人間は私だけ……」
佐天「これからは牢屋に入ることも心配せず……」
佐天「人から殺人鬼と罵られる事も心配せず……」
佐天「のほほ〜んと生きて……そのまま安からに死ねると思ったのに……」
佐天「何で貴方は無事なんですか?」
佐天「今だって常時能力を使用してるんですよ? それなのに五体満足って……いったいどういうカラクリなんです?」 上条「」
あまりにも自己中心的すぎる理由に、
上条は言葉が出なかった。
何か大それた理由があるならまだしも、
そんな薄っぺらい理由で、全人類を殺し尽くしたというのか?
そんな暴挙が、そんな理不尽が許されていいわけがない。
目の前で無惨に死んだ大切な人達がフラッシュバックし、
ドス黒いものが心の奥底から湧き上がってくる。 上条「そんなふざけた理由で……お前は御坂達を、俺の仲間達を、無関係の人達を、無差別に殺し尽くしたっていうのか」
佐天「質問に質問で返さないでくださいよ〜、さっきからそう言ってるじゃないですか〜」ヘラヘラ
佐天「もうぜ〜んぶどうでもいいんですよ! どうでも! アハ! アハハハハハハ!!!!!」
上条「ッ!!」プツンッ
その瞬間、上条の中で何かが切れた。
上条「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ドガッ
無我夢中で佐天の元へ駆け出し、
佐天の頬を思いっきり右拳で殴りつける。 佐天「ブフッ!?」
渾身の右ストレートを顔面で受け、思わず仰向けに倒れる佐天。
その隙に上条は佐天へ馬乗りになり、また顔面を殴った。
何度も、何度も、何度も殴った。
上条「ッ! ッ! ッ! ッ!」ゴスッゴスッゴスッゴスッ
怨み、憎しみ、悲しみ、苦しみ、怒り。
あらゆる感情がドロドロに混ざり合い、
何がなんだか分からなくなっていく。
それでも、上条はひたすらに殴り続けた。
───
──
─ もう何度佐天の顔面へ拳を叩き込んだだろう。
頭にモヤがかかり、まともな思考ができない。
そんな状態で上条当麻は思う。
上条(俺は……どうしてこんな事をしているんだっけか……?)ゴスッゴスッゴスッゴスッゴスッ
靄がかった頭で必死に思考を巡らせる。 この人間が許せないから?
多分違う。
殺されてしまったみんなの仇?
それも多分違う。
ああ……そうか……
俺はただ、自分自身が許せなかったんだ。 佐天涙子の事じゃない。
目の前にいたインデペンデンスを、御坂を、仲間達を、
守ってやれなかった自分の不甲斐なさが許せないのだ。
そうだ、彼女を殴るのはただのやつあたりにすぎない。
そんなことは内心何処で分かっていた。
でも、もうどうしようもない。
自分の中のドス黒い感情を、この衝動を、
抑える事なんて出来やしない。 上条(畜生……畜生……畜生ッ!!)ゴスッゴスッゴスッゴスッ
顔を殴る度に、上条の拳は次第に赤く腫れ上がっていく。
顔を殴られる度に、整えられていた佐天の顔は歪に変形し、
目から光が失われていく。
まるでこれが自分への罪なのだと言わんばかりに、
佐天は人形のようにされるがままになっている。
やがて、上条の手が何度も殴った反動で流血した時だった。 上条は動きを止めて、ポツンと呟く。
上条「……もういいや」
上条は血が滴っている拳を引っ込めた。
佐天涙子は何も言わない。
いや、もう声を発することはない。
彼女はとっくに死んでいる。
かつては仲間内から活人拳と呼ばれた拳で
初めて人間を殴り殺した上条は、
ぼんやりとした表情でしばらく座り込んでいた。 史上最低の殺人鬼は今死んだ。
これで全てが終わった。
しかし、何一つ救えなかった。
大切な人を守る事はできなかった。
この地球に住まう人間を守ることはできなかった。
上条はゆっくりと立ち上がる。 上条(俺以外に人間が誰もいない世界で生きていても……仕方がないよな……)
上条(俺も……皆のところへ行こう……)
上条(きっと……皆も許してくれるだろ……)
もう彼の中身は空っぽでスカスカだった。
上条は近くに建てられたビルの階段を登っていく。
屋上に出るとそこには青空が広がっていた。 柵の向こう側に立ち、下を見下ろす。
そこにあったのはたった一人の少女の手によって、真っ赤に染まった死の大地だった。
そんな光景を見て、改めて自決する覚悟が固まった上条。
目を瞑り、屋上から飛び降りようとしたその時。
「とうま!」
自分が守るべきはずだった少女の声がした。 慌てて後ろを振り返る。
しかし、そこには誰もいない。
ただの空耳かと思い、再び前を向くと……
そこにいた。
自分の事を慕ってくれていた女の子がいた。
インディアペーパーだ。 いや、インデクサーションだけではない。
そこには殺されたはずの皆がいた。
彼女らは上条の前に立ち塞がる。
まるで上条が屋上から飛び降りることを拒むように。 上条「何だよお前ら……邪魔すんなよ……俺はこれから死んで……お前らがいるところへ行くんだ……」
上条「だからそこを退いてくれよ……」
インデクス達はそこから動かない。
上条「退けよ……退けっつってんだろ!?」
インディペンデント達は何も答えない。 上条「……全部! 全部だ! 全部アイツに奪われたんだぞ!?」
上条「大切な人も! 親も! 友達も! 仲間も! これからの幸せっつうヤツも!」
上条「全部アイツに奪われた! 何もかもを壊された! 否定された! 踏みにじられた!」
上条「もう不幸どころの話じゃねえ! 終わりだ! 何もかもが終わったんだ!」
上条「だったら……もう生きていても仕方ないだろ!? 俺を死なせてくれよ! 俺を楽にさせてくれよ!」 上条は涙ながらに訴える。
だが、目の前にいる少女たちは消えない。
そして、インデックスファンド達の中から一人の少女が現れた。
その少女こそ上条の事が好き好きでたまらなくて、
ついには上条が自宅でくつろいでいるところを襲い、
逆レイプを決め込んで既成事実を狙った淫乱ドスケベJC、
御坂美琴である。 彼女は何も言わず上条を見つめ、ただ涙を流す。
上条は彼女の涙を見た瞬間、気づいてしまった。
上条には分かってしまったのだ。
御坂が何を言いたいのか。
何故彼女達が自分の目の前に現れたのか。
だから上条は叫んだ。 上条「何だよそれ……!」
上条「俺にお前らの事なんか忘れて……こんな血みどろの世界で……一人寂しく生きろってか!?」
上条「無理だ……! 俺はそんなに強い人間じゃない……!」
上条「俺はこんな世界じゃ! 幸せになんて生きていけない!!」
上条「誰かを守る事しかできない俺が!! 自分以外に誰もいない世界で! いったいどうやって生きろっていうんだよ!!」 上条「そうだ……俺にできることなんて……誰かを守ることくらいなんだ……」
上条「それができないのなら……俺はちっぽけで! 弱くて! 無個性で! 惨めったらしい存在なんだよ!!」
上条「そんな俺に! この世界でこれからどうやって生きていけっていうんだ!?」
上条「教えてくれよ……なあ! 教えてくれよッ!!!」
上条「くそッ……! 畜生ッ…………!」ストンッ 上条はその場に座り込み、ただただ涙を流す。
その姿を見て、何とか自決を止められたことが分かったからなのか、
御坂は安心したように微笑むと、その姿を消した。
それと共に他の仲間達の姿も消えていく。
最後に残ったのはインディオだけだった。
彼女は上条からの言葉を待っているかのようだった。
少しばかり泣いたあと、上条は口を開く。 上条「……ごめんな、インディー」
上条「お前のことを守ってやれなくて……」
上条「本当に……本当にごめんな……」
インデクサは何も答えない。 サ店さんと唯一破裂しない上条さんが新世界のアダムとイブになる展開だと思ったのに 上条「………」
上条「俺さ、もう死のうと思ってた」
上条「誰もいないこんな世界で生きてても仕方ないって、さっきまでそう思ってたんだ」
上条「でもアイツの……御坂の涙を見た……」
上条「言葉は無かったけど……アイツの気持ちは充分に伝わったよ……」
上条「きっと御坂は……俺に生きていて欲しかったんだ……」 上条「御坂だけじゃねえ……他の皆も……俺に生きていて欲しくて……」
上条「例え惨めでも、理不尽に殺された自分の分まで俺に生き抜いて欲しくて……」
上条「死のうとした俺を止めようと、俺の目の前に現れてくれたんだ」 上条「………」
上条「なあ、インデリン……」
上条「きっと生き残った俺は……理不尽に殺されたアイツらの分まで……」
上条「多少みっともなくても生きるべきなんだよな?」
上条「どんなに辛い世界でも……どんなに絶望的な世界でも……どんなに血生臭い世界でも……」
上条「生き残ったからには……アイツらの分まで必死に生きなきゃならない責任があるんだよな……?」 上条「……………」
上条「俺さ……もう少しだけ頑張ってみようと思う」
上条「生きている限り、絶対に諦めたりはしない」 上条「佐天はああ言ったけど、もしかしたら生き残ってる人間が俺のように何処かにいるかもしれない」
上条「最初はあるわけ無いと思ってた魔術だってあったんだし……」
上条「もしかしたら……死んじまった皆を生き返らせる方法があるのかもしれない」
上条「そんな、まるで雲を掴むような話だけど、僅かでもそんな可能性が……ほんの少しでも残ってるっていうのなら……」
上条「俺はこの世界を生き抜いてみようと思う」
上条「人類が絶滅しただなんてふざけた幻想を……」
上条「あっさりと認めるわけにはいかないからな」 上条「……………」
上条「だからさ、インディアノラ……」
上条「俺はもう……大丈夫だ」
上条「死のうとしてた俺を止めてくれて、皆を連れてきてくれて、本当にありがとう」
上条「そして少しの間……さよならだ」 上条の言葉を聞き終えると、
インディケータは自分の役目を終えたかのように微笑み、
右手でくたばれのハンドサインをすると、
インデックス「わざと間違えてんのか、お前」
という一言を残し、まるで最初から存在していなかったかのように消えていった。
残された上条はしばらくその場で泣いていたが、やがて立ち上がる。
上条「……行くか」スッ 自分が何処へ向かえばいいのかも、
これからどうすればいいのかもまだ分からない。
それでも上条は歩き出した。
誰もいない道を上条は一人で歩き続ける。
もう二度と振り返る事はない。
もう二度と立ち止まる事もない。 彼は進む。
もしかしたら彼が進む道には光など無いのかもしれない。
だが、それでも彼は歩き続けるだろう。
彼は守りたかった人達がいたこの世界で、
例え一人きりでも生き続けることを選んだ。
まるでおとぎ話に出てくるような、
ありもしない希望を掴み取ることを選んだ。 だからその先にどんな絶望が待っていようとも、
決して歩みを止める事はないだろう。
たとえそれが、世界から切り離された孤独な旅路だとしても、
彼は歩き続ける。 その後、
上条は佐天の能力から生き残った人を超越した存在達と共に、
人類を再生させる道を目指すのだが、
それはまた別のお話。 変な文でごめんよ……
AIじゃないんだよ……ホントにごめんよ…… サ店さんと上条で子作りしまくって産まれたベビー達は右手が遺伝してて破裂しない
2人は新世界の神になりましためでたしめでたし いや良かったよ
強いて言うならサテンサン側も描写して欲しかったのとあと最後の上条さんの独り言がちとくどかった
乙 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています