ホタテ、ブリ…輸出できず「億単位の損失」も 中国禁輸、業者に影響

 東京電力福島第一原発の処理水海洋放出が始まって1週間。中国が日本の海産物の全面禁輸に踏み切り、生産現場にも影響が出始めている。

輸出できず、積み戻しも

 「中国向けに輸出した水産物が通関できず、積み戻されている」「ホタテが中国に輸出できず、地域によっては冷凍庫に余裕がなくなってきている」

 北海道には、漁業関係者業者からこうした情報が寄せられている。対策のため8月29日、「道産水産物流通・輸出に係る連絡協議会」を設置した。

 道のまとめによると、道内からの水産物の輸出額は2022年が833億円で、中国向けは532億円にのぼった。中でもホタテの占める割合は大きく、全体で618億円。このうち中国向けが448億円を占める。

 「どれだけ影響が出るのだろう」

 北海道南部の洞爺湖町にある「いぶり噴火湾漁協」の合田徳幸専務(58)は、不安を隠さない。同漁協の主力商品であるホタテは、近年、中国や韓国など海外への輸出が大きな比重を占めているからだ。

 「ホタテの水揚げは10月ごろから年明けにかけて本格化する。このまま行けば影響は避けられない」

 「中国国内の景気や円安、コロナからの回復、貝殻付きOKの売りやすさなど理由は様々だが、最も重要な取引先となっていたことは間違いない」と道の担当者は話す。

新たに販路開拓、でも「買いたたかれる」

 冷凍ホタテを主に扱う、首都圏の水産物専門商社の社長は「ここ数年、中国向けの輸出が好調で良い思いをしてきた」と明かす。それが一転、「今は本当に厳しい」と言う。

 年間の売上高が数十億円規模…

https://www.asahi.com/sp/articles/ASR805Q1MR80UTIL018.html