【小説】三題噺を書きたい!二日目【ワナビ】
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昨日に引き続き適当に短編で三題噺書こうと思うのでお題をください
お題足りなかったら安価下するか足りない分再指定するかは気分で決めます
>>3 お題①
>>4 お題②
>>5 お題③
前々スレ
三題噺を書きたい
https://mi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1683257585/
前スレ
【小説】三題噺を書きたいって言ってもスレ落ちちゃったじゃねぇか!【ワナビ】
https://mi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1683262079/ とりあえずスレが死なないように適当にレスしていきます お題① 『肛門』
お題② 『睾丸』
お題③ 『蝿』 前スレでも自分以外の方も書いてくださっていたので、他にも書きたい方がいたら是非書いていってくれると嬉しいです 前スレ小説まとめ
>>34 120字
>>42 肛門からクリームソーダを出すロボット
>>102-103 前スレ主様作
>>122-130 自分作 気が向いたら前スレの小説達も読んでもらえればと思います タイトル「一生」
お題「肛門」「睾丸」「蠅」
先程まで温かいところにいた筈なのだが、今はやけに寒く感じる。身体に纏わりつく粘液が外気に熱を奪われどんどんと冷めていくのがわかる。目の前に横たわっているのが母だろうか。母の周りには得体の知れない生物いる。その生物達は母を取り囲みお腹のあたりを弄っている。一体何をしているのだろうか。
母のお腹を弄っていた生物の一体がこちらに得体の知れない液体を持って近づいてくる。なにやら筒状の物に液体が入っているようだが、その生物は筒の先端を私の口に押し込んだ。その筒の先端は柔らかく、液体が私の口に流れ込んでくる。温かく甘い。私が筒の先端に吸い付けば吸い付くほど液体は私の口に流れ込んできて、それを私は腹の中へ収めていく。私がお腹一杯になるまで液体を堪能すると得体の知れない生物は満足そうに去っていった。 >>15
それから暫くは母と二人の生活だった。付近の部屋では母と同じ年頃の女性が一人で居たり、あるいは私の様な子供と母親の二人が暮らしていたりした。狭い部屋の中で私は沢山のことを母から教わった。母のお腹から私のご飯となる乳が出ること。私が謎の生物に飲まされたのもそれだと言うこと。謎の生物は私達に毎日決まった時間にご飯をくれるということ。時々私達の部屋を掃除してくれること。
母は女で、私は男と言う性別だと言うこと。母の後姿を見れば肛門のすぐ近くに女性器と呼ばれるものがあるが、私にはこの女性器と言うのはついていないらしい。その代わり睾丸と言うものが付いているとのことだった。
私は母と二人の暮らしの中ですくすくと成長していった。乳だけでなく謎の生物が運んでくるご飯も少しずつ食べられるようになった。
謎の生物はこちらに対して敵意は無いらしい。ただ時折何がしたいのかわからない時がある。謎の生物は普段はご飯を運んだり、掃除をするくらいだが、偶に母の肛門や女性器を弄りに来る。そんなことをして何になるのかはわからないが、母が言うには不愉快だが私達が生きていく上では仕様がないとのことだった。 誰か昨日みたいに他の人も書いてくれると嬉しいのだけれど >>17
ある日謎の生物に取り押さえられた。顔を縄で縛られ声も上げられないまま部屋の隅に追いやられた。暴れる私を謎の生物達が抑え込み、母の方に目を向ければ母は悲しそうな顔をして座り込んでいた。
不意にお尻のあたりがやけに熱く、痛くなった。どうやら謎の生物達に何かされたらしい。私には母の様な女性器などついていないのに。
しばらくお尻周辺を弄ばれた後、今度は耳に刺す様な痛みが走った。そう言えば母は両耳に耳飾りをしているが、私はどうしてしていないのだろうと思ったことがあった。これがその耳飾りなのだろうか。私は今まで謎の生物達を得体が知れないが、私達を害することは無いと信頼していたのに、酷く裏切られた気分だった。 >>26
あの日以来、謎の生物達に乱暴にされることは無かった。謎の生物達はあれだけのことをしておきながら何食わぬ顔でご飯を運び続け、時折部屋の掃除をしに来るのであった。そうして偶に思い出したかのように母親の肛門と女性器を弄っていくのであった。
随分と気温が高くなった。ただ過ごしているだけで汗ばんでくるのがわかる。母が言うには今は夏と言う季節らしい。私達の部屋には水飲み場と塩と言うしょっぱい固形物が備え付けられている。母の真似をしながら塩を舐め、水を飲むと何かが満たされるような感覚になった。今まで水を飲んでこんなに美味しいと思うことは無かった。
水と塩が美味しいと言うことの他にもう一つ変化があった。私達よりも、謎の生物よりもうんと小さい生き物が私達の周りを飛び回るようになった。厳密に言えば夏になる前から何かいるなと思っていたのだが、夏になるとその生き物たちは私達の身体に針を突き刺し、血を吸うようになった。
この生き物は蠅と言うらしい。私はこの蠅がとにかく嫌いだった。チクチクと刺す痛みが走る度、謎の生物に虐げられたあの日を思い出す。痛みはあの日のものには及ばないが、この蠅と言う生き物はどれだけ追い払ってもしつこく纏わりついてくるのであった。 >>28
気温が下がるにつれ、蠅は数を減らしていった。やっとあの苦しみから解放されるのかと思うと酷く気分が楽で、心なしか謎の生き物が運んでくるご飯も美味しく感じられる気がした。この涼しい季節は秋と言うらしいと母に教わった。秋はなんていい季節なのだろうか。
そんなことを考えながら過ごしていたのだが、ある日また謎の生物達に裏切られることになった。謎の生物達は私の顔を縄で縛りあげると強引に私を引き摺り出した。母と暮らす部屋から引きずり出され、よくわからない別の部屋へ移動させれた。必死に抵抗したのだが、複数の謎の生物達に囲まれ、抵抗空しく連れ出された。母はこんな日が来るのがわかっていたような顔で、元気でねと最後に私へ声をかけたのであった。
隣の部屋に居た女の子も私と同じように連れ出された。これからどうなるか彼女も知らないらしい。そして連れ出された部屋そのものが動き始めた。部屋が動くとは一体何事だろうか。私にとっての世界とは私と母が、そしてこの子とその母親や、母親の様な年頃の女性が各々の部屋で暮らしている。それが全てだった。
この移動する部屋から見える景色は何もかもが新鮮だった。見たことのないものばかりで何がどういう意味を持つものなのか想像もつかない。
ただただ呆気にとられていると部屋が移動するのを辞めた。辿り着いたその場所には私達の仲間が沢山いるようだ。ここはどこだ、帰りたい、お腹が空いた、そんな声がそこら中で上がっている。
私と彼女は動く部屋の外に追い出され、歩かされるようであった。私の前を歩く彼女の後ろ姿を見た。肛門と女性器が並んでいる。彼女は母より随分身体が小さく、肛門と女性器も小さく綺麗であった。不意に彼女が立ち止まり大便をした。彼女は腹を下していたらしく、液状の便が彼女の女性器を伝い下に落ちていく。私も女性器から産まれたのは理解しているが、その女性器が便で汚れる様を見るのは正直気分は良くなかった。 >>29
私と彼女は仕切りで区切られた場所に押し込まれた。一区画に私達と同じ年頃の者が五人程押し込まれて整列させられる。とても狭く、立っているのがやっとだった。彼女と並んで立たされた私は隣の者に押されたり、彼女が隣の者から押されたりして自然と身を寄り添わせるようになった。彼女の肌は母親のそれよりもしなやかだったように思う。
そうしている間に謎の生物達が代わる代わる現れては私達を見物していった。中には身体を触ってくる者も居た。なんて不躾な生き物なのだろうか。
やがて一人また一人と謎の生物に連れられて歩いて行った。連れられて行く先はどうやらとても広い部屋の様だ。謎の生物に引かれて歩き、謎の生物達の見世物にされ、反対側にある出口から連れ出される。
彼女と私は別々の方向に連れられて歩いた。彼女の姿を見たのはこれが最後だった。
散々見世物にされ、いい加減お腹が空いたと思っていると謎の生物達が再び私を動く部屋へと押し込んだ。その部屋には先客達が沢山いた。彼らもこれから先どこへ行くかはわかっていないらしい。
この中には女性はいないようだった。彼らは男だが睾丸を抜かれた、お前もそうじゃないかと言った。あの謎の生物達に虐げられた日、どうやらあの日に睾丸を抜かれたらしい。
やがてまた部屋が動き出した。来る時に見た景色と同じ様な気もするし、違うような気もする。区別なんてつかなかった。 >>32
立ち続けるものいい加減に疲れたと言うあたりで動く部屋が止まった。今度は私が母と暮らした場所と似た場所だった。違うことと言えば一人一部屋が与えられることと、ここには女性がおらず皆歳の近い睾丸の抜かれた男達しかいないと言うことだった。
ここにも謎の生物が居た。この謎の生物は穏やかそうに見えたがとんでもない巨悪だった。私達は皆鼻に穴を開けられ激痛に悶えることになった。鼻の内側に穴を開けられ、輪っか状の飾りを通された。謎生物は私達を一通り虐め抜くと、私が産まれ育ったところの謎生物と同じ様にご飯を運んできた。激痛でご飯どころじゃないと思っていたのだが、空腹には勝てず食べてみると、何だか今まで食べていたものより味が濃く、こってりとして美味しかった。
新しい部屋での生活は鼻に穴を開けられたことを除けば概ね快適だった。段々と風が冷たくなってきたが、謎の生物は私達の部屋の周りにせっせと囲いを作っていた。風が遮られ温かくなった。これから段々と寒くなることを冬が来ると言うらしかった。
謎の生物が居ない間は会話を楽しんだりもした。私達が女性器から産まれるためには交尾と言うものが必要らしいが、謎生物が女性の肛門や女性器を弄りまわしているのは交尾の代わりになるのだと教わった。私も一度くらい交尾を経験してみたかったが、私達の様に睾丸を抜かれた男性には交尾は出来ず、ごく限られた睾丸を抜かれていない男性にのみ許された特権らしい。それはなんだか酷く不公平だなと思った。
やがて少しずつ温かくなった。これが春と言うものらしい。そして春の後には夏が来るのだとも聞いた。私はあの蠅達が群がる夏がまた来るのかと思うと酷く憂鬱な気分になった。
しかし、蠅達よりも恐ろしいのはやはり謎の生物達だった。いつもは無害な彼らだが、時折豹変して酷く恐ろしくなるのだ。身体に太く長い得体の知れない針を刺してきたり、私達の詰めをなにやら固いもので強引に削り取ったりするのだ。どうしていつも無害でいられないのか、何故私達はこうして虐められないといけないのか、ちっとも理解出来なかった。 >>33
全然推敲とかしてないから多分誤字脱字とか、統一感無い言い回しがたくさんあって完成度は低い気がします >>34
時折謎の生物達に虐められながら、夏には蠅の襲来に腹を立てながらそれでも私達は成長を続けた。この部屋に来てから二度目の夏を迎える頃には私達はすっかり大人に成っていた。中には最近食欲が無いとか、気怠いとか体調不良を訴える者も居たが、私は健康そのものだった。
ある日体調が悪いと言っていた中で特に具合が悪かった者が謎の生き物達に連れられて行った。彼はどこにいったのだろうか。またここに戻ってくる日は来るのだろうか。そんなことを考えていたが、彼がここに戻ってくることは二度となかった。
彼が居なくなってからも一人、時には二人ほど謎の生き物に連れられて行った。中には健康に問題の無い者もいた。私達は同じ年頃にここに連れられて来た。ここから連れられて行く時も齢が関係しているのかも知れなかった。
もうすぐ秋を迎えるであろう頃、遂に私が連れられて行く番が来た。動く部屋に押し込められて移動した。私はこの動く部屋が嫌いではなかったが、今回は随分と短時間だった。着いた先にはこの部屋の倍ほどの奥行きの部屋があった。そこにはおよそ私と同じ年頃であろう先客たちが居た。私を含め十人と少しがまた動く部屋に閉じ込められた。先程の部屋より窮屈で、少し居心地が悪かった。
この者達の大半もどこに行くのかは知らないらしかった。またあの謎の生き物達に見世物にでもされるのだろうか。そう言えばもう随分ご飯を食べていない気がする。早くご飯にありつきたいものだった。
動く部屋にかつてない程長い間閉じ込められて辿り着いた先は見たことのない場所だった。背が高い建物の中に一人また一人と連れられて行く。連れられた先にはいつかの見世物にされた場所の様な空間があり、私達はそれぞれそこに繋がれた。これだけの長旅をしたのだからご飯くらい出ても良いものだと思うのだが、ついぞご飯が出ることは無かった。
そのまま一晩が経ち、朝になると私達はさらに歩かされた。先を歩く者達は順番に頭部に何かを当てられて、そしてそのまま倒れこんでいった。ひょっとして私もこうなるのであろうか。なんだか酷く恐ろしくて、逃げだしたかったが前にも後ろにも続く者がいるし、謎の生き物達が私達を見張っていて、逃げる場所なんてどこにもなかった。
私の番が来た。頭部になにやら冷たいのか熱いのかわからないものが触れると、私は気を失った。
目が覚めた時視界に飛び込んできたのは首を切り落とされた同類の姿だった。私達は気を失ったまま首を裂かれ、血を流し切った後に頭を切り落とされるらしい。今までも謎の生物達に酷い目に遭わされることは多々あったが、ここまでのことは初めてだった。
抵抗しようにも身体は思うように動かず、せめて声を上げて威嚇しようにもぶもぅと間の抜けた声が響くばかりであった。私の首から血が流れていくのがわかる。前を歩いていた者の首を切り落とした何かが近づいてくるのがわかる。
私達はどうしてこんな目に遭わなければならないのだろう。何のために産まれて来たのだろう。誰も教えてはくれなかった。 以上で「肛門」「睾丸」「蝿」を題材にしたタイトル「一生」完結です。 こんな話を書いておいてなんですが、畜産業を否定する意味は全く持って皆無です。
手塩にかけて育てたり、屠畜する謎の生物達のおかげで一般市民は美味しいお肉にありつけてるわけなのでね。 もう一本書きたいのでアンカ指定します
>>46 お題①
>>47 お題②
>>48 お題③ 途中で飽きるかも知らんが俺も書くわ
タイトル「彼の涙はどんな味?」
俺は私立高校の教師をしているが急遽転入生がはいる事になり校長室に呼ばれた。
特別な事情があるので事前に説明するとの事だった。
校長室の前で襟を正しドアをノックした。
校長「誰かね?」
俺「俺です」
校長「はいりまたえ」
俺は校長室に入るなり目を疑った。
そこにUFOが浮いていたのだ。
絶句している俺に向かって校長はおどけながら
「彼が転入生のUFO君だよ」と説明した。 暫く話を考えてから書き始めますので、時間がある方は他で書いた短編なんかも読んでいただけたらとても嬉しいです
https://
novel.daysneo.com/sp/author/kei_mikado/ 俺は状況を飲み込め無かったがベテランの教師であるのだからやることのは一つだ
俺「初めまして俺です。UFO君の担任を任されました。困った事があったら何でも相談してくれ」
言ってから気が付いたが果たして通じているのだろうか。
UFO「アリガト。カンシャカンシャ。ヨロシクネ♥」
俺は通じていた事に安堵した。
カタコトだが何とかなりそうだ。
UFOはゆらゆらと浮遊しながらおもむろに底を開いていく。
俺は思わず身構えた。
底から出てきたのはアームに掴まれた小瓶だった。中には七色の液体が入っている。
UFO「コレ。オミヤゲ。元気ニナル」
俺は恐る恐る受け取った。
俺「ありがとう。元気が出ないときに飲んでみるよ」
俺はそれを内ポケットにしまった。 校長「では、来週からよろしく頼んだよ、俺君」
校長が俺の肩をぽんと叩いて微笑んだ。
はい、わかりましたと言いそうになり、冷静になった。
俺「ちょっと、もう少し事情を教えて貰いたいのですが………」
校長「内密にして欲しいんだが理事長からの命令でな。理事長は彼に恩があるらしく彼の願いを叶えてやっているんだ」
それだけではないだろう。ここの理事長は金の亡者で有名だ。
俺の沈黙を察したのか、更に校長は話を続けた。
校長「実は、君が受け取ったものは彼の涙でな」
俺「涙、ですか」
小瓶を改めて取り出し綺麗な涙もあるもんだと軽く振ってみた。七色の涙は混じりあう事もなく渦まいている。
校長「これが、万病に効くのだよ。札束にしたらおよそ10tだ」
俺「………」
とんでもないものをくれたものだ。 UFO「リジチョー。アルコールノミスギ。シニカケタスケタ」
俺「そうだったのか、ありがとう、UFO君」
UFOはまたゆらゆらと揺れている。何だか照れているようだ。
校長はゴホンと咳払いをし、改めて俺を見つめる。
校長「頼まれてくれるかね」
もちろん返事は決まっている。
俺「わかりました、喜んで」
俺はUFOに向き直った。
俺「UFO君改めてよろしく!その涙はとても貴重なものだから安易にあげてはいけないよ」
UFOは上下に小刻みに動いた。
UFO「ワカタヨ」
俺は満足して頷いた。
よしっ来週が楽しみだ。生徒達が驚く姿を想像し自然と頬が緩む。
俺「ところでUFO君、君は何しに地球へ来たんだい?」
UFO「ココニスム。シタミデキタヨ 。ミンナヨブ。」
俺「え?」
UFO「テキタイシャハ、ホロボスヨ♥」
俺、校長「ぶっ壊そう」 UFOをぶっ壊してから数年が経ったが地球は滅ぼされていない。
よくよく考えたら本当にそのつもりなら理事長を助けたりしない、私立高校に入ろうともしないはずだ。
つまり、
俺「あれはUFO君の軽いジョークだったのか………」
衝動的にやってしまった。
ちゃんと確認すればよかった。
未確認に飛行物体を壊してしまった。
未だに罪悪感を感じてしまい、酒を飲むと泣いてしまう癖が出来てしまった。
ハイボールがしょっぱくなる。
こんな時はあれをしよう。
俺「またVIPにスレ立てるか「UFOが転入生で入ってきた県」」
お前ら「定期カイジ」「ネタとしてもつまんねえ」「糖質か」
俺「へへ………」ハイボールゴクッ
パソコンモニターの下には七色の液体が入った小瓶が飾られていた。
おわり お題「UFO、札束、転校生」
「初めまして、十二天光(じゅうにてんひかり)です。出身は神奈川県、趣味はUFOを探すことです。皆さんよろしくお願いします」
七月七日、七夕の日に転校してきた彼女は自己紹介の挨拶でいきなり爆弾を投下した。近々転校生が来ることは噂されていたし、どうやら女子らしいと言うのが分かった時には大体の男子が浮ついていた。可愛い子だと良いななんて皆期待していたし、事実彼女自身の容姿は想像、いや妄想の上を行った。さらさらと長く美しい艶のある黒髪ロングに透き通る様な白い肌、すらりと脚の長く華奢な体躯、首から上もさながらアイドルの整った顔立ちにぱちりと開いた目、それでいて派手で下品な不良連中とは一線を画す品のある立ち姿なのだからもう完璧というより他なかった。
彼女が教室の戸を開けてから教壇の前に立った時まで、このクラスの男子全員が唾を飲み込んだに違いない。だがそれも口を開くまでの間までしか持たなかった。明らかに普通と違う、頭のおかしい彼女の発言を受け、我ら男子の心の中で膨らんだ何かはあっという間に萎れてしまっただろう。
「と言うわけで本日からクラスの一員となる十二天さんだ。皆仲良くするように」
普段から仏頂面で不機嫌そうな担任の板貝も、言葉の上では取り繕っているが明らかに引いているのがわかる。板貝の引きつった顔がツボに入ってしまい、笑いを必死に堪えていたのだが不意に板貝に名を呼ばれ現実へ引き戻された。
「十二天の席は一番後ろ、天神岡の隣だ。面倒見てやれよ」
前回の席替えで運よく最後列、それも窓側から二番目の列と言う好位置を引いたのが仇になった。うちのクラスは奇数人だったため、一番窓側の席は空席だった。実質一番窓側の最後尾と言う非常に贅沢な環境を享受していたのだが、そこにこんな見た目だけ良くて見える地雷をぶら下げた女が越して来てしまった。とんだ誤算だった。 >>59
「天神岡君?よろしくね」
窓側最後尾と言うベストポジションをあっさり手に入れた十二天は此方を向いてにこりと微笑んだ。
先程の自己紹介で十二天の奇人っぷりは充分伝わってきた。中三にもなってUFOを探すのが趣味なんて平然と初対面の大人数の前で言ってのける女が普通な訳が無い。
それでも、彼女の微笑みは反則だった。彼女の内面にはおそらく幾つもの欠点が隠れているはずだ。それでもそんな疑念を全て包み込んで見えなくしてしまう、目が眩むような微笑みだった。
転校生の彼女は当然教科書など持ち合わせておらず、今日一日机を合わせて教科書を見せてやることになった。既に彼女の魅力に当てられている俺としては平静を装いつつも心臓が高なって血管の一つや二つ破れるんじゃないかと心配になる程だった。我ながら単純な男である。
普通の転校生であれば休み時間等にはクラスメイトが集まってきて俺の席周りなぞ五月蠅くて居られないくらいになる筈なのだが凡そそんな気配はない。男子からも女子からも怪訝な視線を感じる。男子はまだ下心を理性で抑え込んでいる様な状態で済んでいるが、女子の中にはこのクラスに新たに紛れ込んだ異物をどう処理してやろうかと言う敵愾心丸出しの視線を向けてくる者も居る。
これだけの容姿にあのような悪目立ちの仕方ではそれも詮無いことかもしれない。そして彼女が悪目立ちしたおかげで彼女に今のところ誰も寄り付かないと言うのは俺からしてみれば僥倖なのかもしれないとさえ思った。 UFOそのものが出てきて歓談するとかいうナンセンスさは潔いとオモタ >>61
当人だけを置いてけぼりにして様々な思惑が交錯し鬩ぎ合い、結果的に何事もなく今日の課程は終了した。
担任の板垣から帰りのホームルームの際、十二天に校舎を案内してやってくれと既に今更なんじゃないかと言う依頼の使命を受けた。一部の男子から羨望の眼差し、大多数のクラスメイトからは同情とも憐みとも呼べる視線、そして過激な一部女子からは余計な事をするなと言う恫喝に近い睨まれ方をした。
「それじゃ十二天、校舎を案内するよ」
このままここに長居すれば悪口大会の開催が遅れ、一部の女子から一層顰蹙を買いなので早々に退散しようと思い早速声をかける。
十二天は何も気にしていないであろう自然体でお願いねと言い、俺の後ろをついてくる。
足早に教室を退散し校舎内の案内を開始する。俺達の通う学校は学級棟と特別棟に別れている。両方とも三階建てで、学級棟は一階から一年教室、階数が上がると二年、三年と学年が上がっていく至ってあり触れた造りだ。教室は全部で四つあるが、一学年三クラスのため一番手前の教室は使われていない。 >>63
学級棟の一番玄関寄りには給食室があり、それぞれの階の受け取り口へ給食専用のエレベーターを用いして昇降する仕組みになっている。一階に降り、生徒玄関を過ぎると教務室と校長室その奥に職員用玄関がある。一階だけは玄関がある都合上広く作られているが、二階三階はただの渡り廊下だ。
職員用玄関を過ぎて角を折れれば特別棟である。一階の特別棟の突き当りに体育館の入り口があり、こちらは学級棟の一番奥側の廊下から歩いてこれる。特別棟には理科室、家庭科室、美術室、音楽室、PC室、図書室、木工室などの特別教室が存在している。トイレに関しては学級棟と特別棟の各階に男女各一つずつ備えられている。
歩きながら説明を聞く十二天は至って真面目で、それでいて親しみやすかった。説明すれば相槌や返事で意思疎通がきちんと図れるし、突拍子もないことも言い出さなかった。特別棟の三階まで説明を終えるところまでの話だったが。
「天神岡くん、この学校に屋上は無いのかな」 >>64
普通の転入生が口にするならなんて事の無い興味本位の質問だと思っただろう。ただ十二天が言うとまたあのUFO発言絡まりのことなのかなと勘ぐってしまう。UFOを探すと言えば広く開けた土地か、高所に昇るものと相場は決まっているだろうからだ。
「残念ながら、この学校に屋上は無いよ」
少なくとも俺の知る限り、この学校に屋上と呼べるものは無かった。外から見ればわかるがこの学校は全面がなだらかな屋根で覆われていて、良くある屋上で叫ぶとか、昼食を取るとか、そんなスペースは物理的に存在しないのであった。
十二天は腑に落ちては居ない表情だったが、わからないことを考え続けていても仕方ないと諦めたのかそっかと軽く返事をした。
これで彼女の案内と言う役得も終わりかと思うと名残惜しかった。最後の発言を除けば彼女の行動や言動は美少女の者として完璧とさえ言えた。最後の発言が無ければ今朝の自己紹介はウケ狙いのジョークを皆が真に受けて滑ってしまっただけだったんじゃないかとさえ思っただろう。
「ねぇ、天神岡君。この後時間あったら少し付き合ってくれないかな」
名残惜しいと思っていたら彼女の方から延長の申し出だった。部活は六月の地区大会で予選敗退しとっくに引退していたし、特に何か予定が入っているわけでもない俺は二つ返事で応じた。
「教科書を買いに行かないといけないんだけど、学校指定の本屋の場所がわからなくて、連れて行って欲しいんだ」
思いの外真面目な用事だった。教科書を見せるぐらい俺が毎日見せたっていいとさえ思うのだが流石にそれが許されるわけがない。
若干肩透かしを食らった気分だが、まぁ考えようによってはこんなに可愛い子と帰り道を歩くと言うだけで、今まで彼女が出来たことない俺としてはテンションの上がるものだった。
「わかった。ここから十五分くらい歩くけど大丈夫かな」
「大丈夫だよ、じゃあよろしくお願いします」
本屋に向かって歩く途中に話していて気づいたことがある。うちの学校は夏服は白のワイシャツに男子は指定ズボン、女子は指定スカートとなっている。
十二天は転入に当たり教科書を揃える暇もなかった筈だ。普通であれば制服が仕上がるまでは前の学校時代の制服を着てきたりするものではないだろうか。
それなのに彼女はしっかりとうちの学校の指定スカートを履いていた。それも明らかに新品ではない。みすぼらしいとまでは言わないがそれなりに使い込まれている。
出身は神奈川と言っていたが、此方に親類でもいるのだろうか等と思いつつ、流石に初対面で家族構成まで踏み込むのはデリカシーが無いと思い訊くことはしなかった。
本屋に着くと既に学校側と話しが付いていたのか、店主のおじさんが教科書と資料集一式を纏めてくれていた。紙袋二袋分、値段も良い値段だった。
てっきり教科書だけ買いに来たのかと思ったが、十二天は会計をする前に他の本も見させて欲しいとおじさんに言った。店主のおじさんは勿論どうぞどうぞと言いレジの中の椅子に腰を下ろす。
正直この本屋は本当に商品が回転しているのか怪しいくらいに人が来る印象が無い。この本屋に果たして買う価値のある本があるのか甚だ疑問だった。
十二天は案の定オカルト関係や超常科学といった分野の本を探しているようだった。中には何年前から陳列されているのか分からない背表紙が日焼けした本も散見される。
彼女は真剣に吟味した後、宇宙人関連とUFO関連の本を一冊ずつレジへ持っていき教科書と纏めて会計した。 >>70
肛門からクリームソーダを出すロボット感謝 会計を終えて店を出たところで、紙袋を持とうかと声をかける。教科書類一式となるとそこそこ重い。
「そうだね、一つお願いしても良いかな。と言うか私ここから自分の家までの帰り道がわからないんだけど……、帰り道も案内お願い出来ないかな」
学校から本屋までの道がわからないのだから帰り道がわからないのも当然と言えば当然だった。案内する分には一向に構わないので十二天の住んでいる集落の名前を聞いた。ここから歩いて三十分程かかるところだったが、幸い俺の家と方面は同じだった。
「そう言えば十二天はスマホて持ってないのか」
今時スマートフォンさえあれば大抵の場所はわかる筈なのだが。この田舎でさえ中三女子のスマホ普及率は九割に迫るくらいだ。まして神奈川の様な都会に住んでいた年頃の女子がスマホを持たずにいることが想像できなかった。
勿論、ここで持っていると十二天が言えば連絡先を交換したいとの下心もあった。
「スマホは無くしちゃってね。週末に新しいのを買いに行くことになってるんだ」
残念ながら今は持っていないらしかった。
「そういえばさ、さっきもUFOの本とか買っていたけれど、自己紹介の時のあれってどのくらいガチなの?」
おそらく九分九厘彼女は本気なのだと思うが、一応聞いてみることにした。
「え?UFO探しのこと?ガチだよ。と言っても最近始めたばっかりなんだけどね」
どうやら最近始めたばかりらしい。もっと昔から頭の螺子が飛んでいるのだとばかり思っていたので正直意外だった。
「それは流石に言いたくないなぁ。そうだ、天神岡くんも手伝ってくれるならその内教えてあげるよ」
UFO探しのお誘いを受けた。まぁ本気で探すかは兎も角として、この誘いに乗っておけばこれからも継続的に彼女と接点を持つことが可能だろう。
部活を引退してすぐに受験勉強に切り替えられるようなタイプでも無いし、どうせ遊んでしまうのなら可愛い女の子と遊ぶ方がいくらか有意義だ。
「いいよ、俺に何が出来るかはわかんないけど」
十二天は少しだけ驚いたような表情を見せた。まさか自分から誘っておいて乗ってくると思ってなかったんじゃないだろうな。
「ありがとう。じゃあまず明日の放課後に図書室に付き合ってもらおうかな」
すぐに表情を元に戻し、十二天が言った。今日も本屋でそっち系の本を探していたし、その続きと言うことだろうか。それくらいなら俺にも出来そうだ。
了解と答え、何を話せばいいのか分からなくなったので無言のまま歩く。おそらく彼女には何かがあり、そしてその地雷は踏まぬが吉だ。下手を打つくらいなら多少の気まずさは我慢して美少女と二人で歩いている現実を心の中で堪能しようではないか。
十分くらいだろうか、ほぼ無言で歩いていた。勿論不自然でない程度に浅い話を振ってみたりはしたし、彼女の方もそれに対してきちんと反応はあった。ただ先程の様な踏み込んだ話は一切しなかった。
十二天の言った集落に着いたので、ここから先は道はわかるかと聞いたところ首肯した。じゃあ家まで送るよ、荷物もあるしさと押しつけがましくならない程度にここで帰ったりしないと意思表示してみる。
十二天はそれに対して特に何も思うところが無かったのかありがとうと言って集落の中を進み始めた。
「ここが私の家」
そう言って立ち止まったのは立派な日本家屋の家だった。この集落の中でも一番大きいのではないだろうか。
「じゃあ、また明日ね。今日一日沢山面倒かけちゃったね、ありがとう」
どういたしましてと言って彼女に預かっていた紙袋を渡すと、彼女は勝手口から家に入っていった。 ふと気づいた
今日だけでもう一万文字書いてる
昨日も合わせれば二万文字
アホなのかな
十二天と天神岡の話を書き進めたい気持ちはとてもとても強いんだけど、先に言っておく、エタったらごめんなさい 昔、文芸サロン板に三題小説を書くスレがあったんだよ。
安価でお題を出し合って小説を書くんだけどラノベだけではなく色んなジャンルの人が書いてて本当に楽しかった。
そういうスレ、また復活しないかねえ 帰ってここでやらずにそっちの板とかに行った方良いんですかね?
なんとなくVIPで始めたんですけど >>75
無理に移動しなくていいんじゃない?
ここでスレ主が好きなようにやれば良いと思うよ。 >>72
翌朝登校したところ十二天は既に着席していて、昨日買っていたUFO関連の本を読み耽っていた。ブックカバーもかけずに読んでいるものだから、周りの皆から刺す様な視線をひしひしと感じる。もっとも十二天本人は他者からどう思われるかなんて全く興味が無いようだった。
おはようと挨拶してみるが返事は無かった。よっぽど集中しているらしい。
あまり執拗に声をかけて俺まで悪目立ちするのは避けたいので、それ以上深追いはしなかった。
昼休みになるとお調子者で通っている男子生徒が十二天へ話しかけると言う暴挙を働いた。相変わらず本を読んでいる彼女へ強引に話しかける。
十二天も流石に気付いたのか、どうかしたのと返事をした。反応があったことで調子づいたお調子者はマジでUFO探してるのとか、連絡先交換しようよとか、今度の土日遊びに行かないとかとにかくガツガツ当たっていった。
それに対して十二天はそうだよとか、スマホ持ってないんだとか、家族と用事があるんだとか、冷たい印象は与えない程度に、だがしかし愛想は薄く淡々と答え、そして本の世界へ戻っていった。
哀れ玉砕したお調子者は、クラスでしばらくの間勇者と呼ばれることになり、今後彼女にアプローチする男子生徒は居なくなったのであった。 興味あって前スレから見てるが
自分はどうやら三題示されたとき(合わねえな)と思ったら迷いなく切断するタイプのようだ…
けっこう長いこと書いてないな…… >>76
ありがとうございます
とりあえずこの話はここで書き続けようと思いますし、もし仮に今日書ききれなくて落ちても後日立て直して続き書こうと思います >>78
肛門、睾丸、蝿はちょっとびっくりしました
普通に書こうとしたらエロ方面スカ方面とかの話になりそうですが、ちょうど仕事で畜産業に関わることもなるので牛視点で一生を書いてみたら良い感じにまとめられたんじゃないかと思ってます
ちなみに蝿はサシバエって蝿が実際にいます、アブとかじゃないです >>77
放課後になると十二天はすぐに席を立った。おそらく図書室へ向かうのだろう。目立たないよう適度に間隔をあけてついて行く。
予想通り図書室に向かっていったので入る直前に声をかけた。
「十二天、手伝うって何をすればいいんだ」
図書室に入ってから会話をすれば人目に付く。勿論全く話さないと言うのは無理だろうが、ある程度ここで十二天の意思を確認しておきたい。
「天神岡くん、本当に来てくれたんだ。えーと、この学校とか、この辺りの空撮写真を探そうと思って」
この学校の空撮写真と言うことは未だに屋上を探すことを諦めていないのだろう。この付近全体となるとUFOを呼べる敷地探しだろうか。
「郷土資料のコーナーにならあるかも知れないな、市の何年史とか、手分けして探してみようか」
「そうだね」
そう言って図書室に入る。この入り方なら室内でああでもないこうでもないと話す必要もないし、接触は最低限に抑えられるはずだ。
そこからは地味な作業が続いた。それらしい本を取ってはパラパラとめくり、棚に戻す。一時間程その作業を繰り返したところで彼女が声をかけて来た。
「天神岡くん、これってこの学校だよね」
そう言って見せて来た写真は確かにうちの学校を上空から写したものだった。そして屋上などないと思っていたが、屋根の中にほんの一部だけ正方形の屋根の張られていない部分があった。
「確かにうちの学校だね、このコンクリートっぽい正方形のところが屋上なのかな」
「多分そうだよ、これだけの面積の屋根をちょっと修繕したいなってなった時に一々足場組んでってなると大分お金かかっちゃうと思うし、ちょっとした修繕ならすぐ出来るように勝手口みたいな感じで残してるんじゃないかな」
確かにその説明には納得できる。十二天は意外と頭が切れるタイプらしかった。
「多分ここだと学級棟ですね。階段かトイレか、空き教室あたりかな」
「この写真スマホで撮っておいてもらえるかな、あと今からそのあたりに行ってみよう」
言われた通りスマホに空撮写真を収め、図書室を後にした。 すいません
ちょっと書ききれません
二万字になるか三万字になるかわからないけど、この二人についてはきちんと書き上げてあげてから、また改めてお題を募集する時にスレ立てようと思います
読んでくださった方、本当にありがとうございます お疲れ様です。書き終わったらスレ立てして欲しいな。十二天さんの話最後まで読んでみたい ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています