虹夏「リョウ、>>2」山田「え?」
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虹夏「リョウ、うんち」
山田「え?」
虹夏「うんち」
山田「虹夏、どうしたの?」
虹夏「>>7」 虹夏「あなたはクソだ」
山田「?」
虹夏「あなたはクソだ」
虹夏「あなたは」
虹夏「クソだ」
山田「虹夏、なにか嫌なことでもあった?」
虹夏「>>12」 虹夏「好き」
山田「え?」
虹夏「リョウ、好き」
山田「虹夏……」
山田、おもむろに虹夏の面に寄り、指で虹夏の額を弾く
虹夏「痛っ……!」
山田「あまりからかわないで」
虹夏「>>15」 虹夏「大嫌いだぼっちざろっくなんて」
山田「好きって言ったり、嫌いって言ったり」
山田「今日の虹夏、めんどくさい」
虹夏「>>18」 虹夏「いつもは散々からかってるくせに」
山田「からかわれて悔しいの?」
虹夏「悔しくないもん」
山田「>>21」 山田「脱いでクレメンス」
虹夏「えっ」
山田「脱ぎなよ」
虹夏「何を……?」
山田「わかるでしょ?」
虹夏「>>23」 山田「脱げよ」
山田は低い声で言い放った
暖かな春の午後、日は山田の背後から差し込み、すらりとした体躯が暗い陰となっていた
ただ、虹夏を見つめる眼のみが冴え冴えとした輝きを放っていた
虹夏は恐れた
今、眼前に峨々として立ち塞がる親友は、己を辱めるやも知れぬ
万が一そうなれば、最早今までの関係を保つことは出来ぬ
それは虹夏にとって世界が根底から崩壊するに等しいことだった
それだけは回避せねば
そう思った次の瞬間、虹夏は拳で山田を叩いていた
右拳を爪が食い込むほど強く握りしめ、渾身の力で山田の左の米噛みを殴り抜いた
よろめく山田に、虹夏は三発の追撃を加えた
二発目は顔面、三発目は鳩尾、四初目は顎にアッパーカットを喰らわせた
山田は倒れた
虹夏「はあはあ……>>25」 地に横臥する山田の傍らにしゃがんだ虹夏は、山田の髪を掴み、その首を眼の前へ引き寄せた
山田の顔は、右頬が腫れて青黒い痣が浮き出ており、転倒した時に擦りむいたのであろうか、左眼の下に掠り傷ができていた
虹夏は山田の髪を掴みながら、鉄仮面のように表情を変えずに、彼女の顔を見据えていた
あまりの恐怖に、思わず両眼から涙が滴ってきた
山田は断続的に嗚咽しながら、事切れる寸前の虫のように不気味に身を顫動させた
そんな山田を見ていると、虹夏の内に未だ嘗て抱いたことのない感情が芽生えた
それは、この憐れな友人に対する愛おしさだった
虹夏は、自身に恐怖し苦悶する山田を、この上なく美しく、慈しむべきものだと感じた
そして、虹夏は山田に口付けをした
虹夏「ふふ、抵抗しないリョウは好きだよ」
虹夏「>>27」 傀儡のように従順になった山田を見て、虹夏は思った
虹夏「そうだ、喉を潰そう」
虹夏「殴っても抵抗しないリョウがこんなに綺麗なんだから、喋らなくなったらもっと素敵になるよね」
虹夏「ううん、喉だけじゃない。腕も、脚もみんな動かないようにしよう。そしたら、もっと綺麗になれるよ」
虹夏は幼い時分に見た絵画を思い起こしていた
迢迢と聳える洋館の高い穹窿に飾られた一枚の絵である
そこには天を仰ぐ聖母とその周りを飛び回る赤子の姿をした天使が描かれていた
虹夏は幼心になんて美しい絵なのだろうと思った
虹夏の思考は転回する
あの聖母の絵は美しいが、恐怖に慄く山田もまた美しい
絵画が美しいのは、動かないからだ。完成された美だからだ
傷付いた山田は美しい。しかし、山田は完成していない。まだ動くから
山田は未だ完成していない
この芸術を完成させるのが我が使命であると
虹夏「リョウ、>>30」 虹夏「リョウ、磔になりなさい」
>>32「何してるんですか」
虹夏「あ、>>32」 ジミヘン「何してるんですか」
虹夏「あ、ジミヘン」
虹夏「今、素晴らしい芸術を作ってるんだよ。もう少しで完成するんだ」
ジミヘン「しかし虹夏ちゃんよ、それは汝が親友、山田リョウではないか」
虹夏「そうだよ。見て見て、リョウってば殴っても全然抵抗しないんだよ」
虹夏は山田の鼻っ柱に右ストレートをぶち込んだ
地面に血が滴り落ちる
虹夏「ほら綺麗でしょ?これからリョウをもう動かない、本物の芸術にしてあげるんだ」
ジミヘン「なるほど>>34」 犬が喋ってるんですよ?何かがおかしいと思いません? ジミヘン「犬が喋ってるんですよ?何かがおかしいと思いませんか?」
虹夏「本当だ!犬が喋ってる!なんで!?」
ジミヘン「それは、ここが幻覚の世界だからだ。汝は麻薬に溺れ、幻覚を見ているのだ」
虹夏「幻覚……?」
ジミヘン「左様。汝の真の姿を見せてやろう」
そういうとジミヘンは駆け出し、白い牙を剥いて、居合のように虚空を噛み切った
すると、前方の景色に亀裂が生じ、そこから五色の光が洩れいで、辺りを包み込んだ
四方が濃い霧のように真っ白になったが、やがて新たな景色が浮かび上がってきた
光の向こうの景色は病室だった
ベッドには金髪の華奢な少女が寝ていた
これは虹夏自身である
病室には三人の少女が見舞いにきていた
一人目は>>36、二人目は>>37、三人目は>>38である 病床に伏した虹夏は虚ろな目をして、時折わけの分からぬ独り言を呟いていた
虹夏『私、私だよ?分かる』
虹夏『私、お願いだから元気になって!』
アッコさん『そやで虹夏ちゃん、こっちの虹夏ちゃんの言う通りやで。虹夏ちゃんがおらんかったら、誰が結束バンドをまとめ上げるねん』
虹夏「私、私、アッコさん……>>40」 虹夏「ジミヘン、私、現実に帰るよ」
ジミヘン「そうか、それは良かった」
虹夏「帰って、本物のリョウを芸術にしなきゃ」
ジミヘン「何!?待て!!」
ジミヘンが叫んだ時にはもう遅かった
虹夏は現実に帰り、主を失った幻想の世界は崩壊し始めた
ジミヘン「これが余の定めか……」
ジミヘン「あとは頼んだぞ……アッコさん……」
虹夏は目を覚ました
アッコさん「虹夏ちゃん!目ェ覚めたんか!?」
虹夏「ごめんアッコさん。私、リョウを芸術にしなきゃいけないの……」
アッコさん「>>42」 アッコさん「虹夏ちゃん、それどう言うことやねん?」
虹夏「リョウは、その美しさを永遠のものにするために、芸術にならなきゃいけないの。だから、リョウを芸術にする。それが私の使命……」
アッコさん「それ、山田を殺すっちゅーことか?」
虹夏は黙って頷いた
二人の間に沈黙が生じた
病室の窓からは、明治神宮の森が見えた
桜はもう散ってしまい、森一面が緑の葉に覆われていた
葉の一枚一枚が春の陽射しを受け、翡翠のように玲瓏と輝いていた
日の当たらない病室の中で、アッコさんは静かに唇を噛み、拳を震わせていた
すると、アッコさんの震えに伴って、病院全体も揺れ始めた
院内の調度が倒れ、散乱する中、アッコさんの拳は眩い光を発し、強烈な熱を帯び出した
アッコさん「お前ふざけるなよ!!」
アッコさんは咆哮し拳を振り降ろした
拳の触れたところから、紙が燃え消えるように、床や壁が瞬時に蒸発していった
病院は跡形もなく消えた
病院の跡地に降臨したアッコさんは、地団駄を踏んだ
すると東京が時空ごと消滅し、フィリピン海プレートの運動により歪んでいたユーラシアプレートが跳ね上がり、太平洋沖を震源とする巨大地震が発生した
虹夏「アッコさん、>>48」 南海トラフ巨大地震が発生すると、太平洋側の広範な地域で震度6から7の強い揺れが、数分にわたり発生する。
この時、固定されていない家具や窓ガラスは凶器となる。重い箪笥や本棚が転倒し、その下敷きになる恐れがある。10kg近い机やテレビなどが飛んでくることさえある。
ガスを使用していた場合、火災が発生する恐れもある。火は家から家へ凄まじい勢いで燃え広がる。地震で転倒した家具により避難路が塞がったり、一酸化炭素中毒を起こす危険性もある。平成7年に起きた阪神淡路大震災で最も多かったのは火災による死亡者である。
そして、沿岸の地域には津波が押し寄せる。高知県や和歌山県の沿岸では、地震発生からわずか3分で津波が到達する。高知県や静岡県では津波は最大30mにも達すると予測されている。東北太平洋沖地震(東日本大震災)で最も多かったのは津波による死亡者である。
我々はこの事を忘れてはならない。災害に備え、家具の固定、食料の備蓄、避難経路の確認などをしておきたい。
しかし、今は津波よりももっと恐ろしい災害が発生している。
アッコさんが東京を時空ごと消し去ったため、日本列島という巨大な質量が一瞬にして数10km移動し、地表に凄まじい力が生じたのだ。
関東及び静岡県東部は消し炭に成り果て、地表のあらゆる物が四方八方に凄まじい加速度で投擲された。東京が存在した隙間を埋める形で近隣の県が衝突したため、日本列島の地盤そのものが音速を凌駕するスピードで飛散し、各国の大地を抉っていった。
虹夏「アッコさん!リョウも巻き込んでるよ!」
アッコさん「心配すな。ほら」
そう言うと、アッコさんは右の掌を虹夏に見せた。その中には、数mmほどの黒ずんだ塵埃が握られていた。
アッコさん「世界中の人らは、みんなこの中や。この戦いが終わったら元に戻したる」
アッコさん「さあ虹夏!>>54」 虹夏は恐れ慄いた
自分は今からこの鬼神をも凌駕する闘士と闘わねばならぬのかと
生きて帰れる望みは一縷も無い
しかしアッコさんを倒さねば、山田を芸術たらしめることはできぬ
虹夏は覚悟を決めた
臨戦態勢に入った虹夏から黄金色の闘気が迸る
虹夏「さあ来なよ、アッコさん……」
アッコさん「虹夏……」
アッコさん「降参や!私の負けです」
虹夏「えっ」
虹夏は啞然とした
虹夏「な、何で……!?」
アッコさん「虹夏、あんた今こう思っとったやろ?私を倒さな、山田を殺れへん、ってな」
アッコさん「ほんなら、私が降参してまえば、あんたは私を倒すことは出来へん。違うか?」
虹夏は返す言葉も無かった
それと同時に、アッコさんの武人としての心意気にいたく感動を覚えた
他者を守るためには敗北を喫することも厭わない
そんなアッコさんの心は強く、潔く、そして清らかだった
虹夏はこの世で最も美しいものを見た気がした 東京は元に戻った
地球も元に戻った
人々もみんな元に戻った
アッコさんがみんな救ってくれた
アッコさん「ほな虹夏、困ったことあったら、いつでもLINEしてや」
そう言って、アッコさんは疾風のように去っていった
そして虹夏は日常へ戻っていく
虹夏(アッコさん、ありがとう。あなたの気高い心を思い出せば、結束バンドはもっともっと前へ進める)
喜多「みんなー!今日は来てくれてありがとうー!」
喜多「今日の一曲目はカバーからです」
喜多「和田アキ子さんの『あの鐘を鳴らすのはあなた』」
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