「ふう……まだかな」
男は新宿駅で、待ち合わせの相手を待つ。SNSで知り合った相手に、金銭と引き換えに虐めてもらうために、新宿まで足を運んだのだ。男は緊張していたが、問題はなかった。今から会う青年の足に、屈辱的に踏みつけられることを想像すると、自然と興奮していたからだ。男が待つこと10分、ようやく待ち人がやって来た。
「すみません!お待たせしました!」
青年が駆け寄って来る。その様子はとても爽やかだった。見た目は非常に中性的で、顔立ちは幼さを覚える。だが、その中身はサディストだ。彼は後で自分の彼女も含めて、この男を屈辱的に痛ぶることになる。そう思うだけで、青年もまた興奮していたのだ。
「いえいえ、僕も先ほど来たところですから」
男は社交辞令的な言葉を返す。実際、待ち合わせ時間より30分ほど早く来ていたのだが、特に気にすることはなかった。それよりも、これから自分が受けることになるであろう辱めに期待している気持ちの方が大きかったのだ。
「それじゃあ早速ですけど、お家のほうにお邪魔させてもらっても……?」
男の家はここから電車で10分ほどの場所にある。二人で男の家に行き、そこで青年に虐めてもらうというのが約束であった。男は快く了承し、二人は男の家へと向かうことになった。
道中、二人は談笑する。男は初対面であるはずの二人であったが、不思議と話しやすい雰囲気があった。それはおそらく、二人が似た者同士だからだろう。互いにサディストとマゾヒストであることはもちろんのこと、お金に困っている青年とお金に有り余っている男との需要と供給の一致という点でも共通している。そんなことから意気投合したのかもしれない。