お前ら「韓国嫌い」ぼく「そう。じゃあ白米、野菜、お肉、魚禁止な」お前ら「あ、あ、あああ、あああ、あ」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
「みゃーお」
この男は猫が好きだ。
猫の鳴き声が聞こえると必ず振り向く。猫の出す声色、音程、波長、すべてに刺激を受けてアドレナリンを出している。
男が言うには猫の素晴らしいところはあの毛の触感。柔らかな毛が男の肌を撫で、そして毛の隙間から放出された空気が独特の匂いを放ち安心感を与えてくれると言う。
猫に魅了された男は会社勤めをする独身29歳の細身の男、杉向井順平という。
杉向井は毎夜19時に退勤し、バスで帰る。市川団地停留所から自宅までの道のりを18分間歩いて帰る。
家に帰るとルームランナーで軽い運動をしてから夕食、録画しておいたドラマを見て22時には眠りにつく。
6時に起きて支度を始め、7時22分のバスに乗る。そういう生活を繰り返している。
この日もその通りの生活リズムで進んでいた。
しかし帰り道の18分に事は起こった。
「次は、市川団地停留所。市川団地停留所です。お降りの方はお近くのブザーを・・・」
<ブーーー>
杉向井がブザー押そうとすると先に誰かがブザーを押した。
停留所は団地付近なので珍しい事ではない。杉向井は面倒が減った程度に感じていた。
停留所から降りる時、バスの床が濡れているのに気づいた。
(どこかで雨が振っていた?今日はこんなに星空なのにな・・・)
歩きながら空を見上げていると、だんだんどうでもよくなってきた。
杉向井は感性が心地よく刺激されると他の事はどうでもよくなる癖があった。
上ばかり見ていて、ふと足音に気が付く。バス停からずっと、自分の前を歩いている人間が一人いたのだ。
杉向井の方が歩くのが早く、その距離は縮まっていった。暗くて気が付かなかったが近くまでくると濡れた女だとわかった。
女は杉向井が近づくと振り返った。
髪の毛は長く、目の細い女だった。
杉向井が追い抜くと猫らしき鳴き声が聞こえた。
<・・・みゃー・・・・>
杉向井はあたりを見回すが猫らしき姿は見当たらない。
足を止め目をつぶって耳を澄ます。
<みゃー・・・みゃー・・・>
確かに鳴いている。杉向井は声の主に向けてそのまま歩き出す。
<ドンッ>「きゃぁっ!」
杉向井が目を開けると目の細い女が尻もちをついている。
「すみません!不注意でした!」
杉向井は猫に夢中になった事を後悔した。
「お怪我はありませんでしたか?」
目の細い女は言った。
「無いみゃー」
杉向井は名古屋の人だったのかと気づきそのまま帰った。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています