この世界のカーネルに触れたかもしれない
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このことについてだんだんと思い出せないようになっていってる気がするから書くことにした
全部を忘れる前に 一年前、会社が休みだった日、今日はだらだらして過ごそうと決めていたので予定通り寝そべってPCいじってたんだ
案の定気が付いたら昼前で、何か食べようと近所の定食屋に行くことにした
食事を済ませて、帰る支度をしていると、変な男に声をかけられた
男は俺の後ろの席に、丁度背を合わせるような格好で座っていたようで、振り向く形でこっちを向いている
男は低い声でラテン系、英語、中国語といった聞きなじみのある言語から、全く聞いたことのない不気味な響きの言語まで、次々と変えながら何かを話しかけてくる
俺は椅子に座ったまま耳を傾ける
日本語でも話した「分かるか?」
俺はこくっと頷いた
男も何か納得したかのように頷く 気が付くと俺は変な場所にいた
いつここに来たのかが分からない
定食屋に行った今日の記憶もある、でもずっとここにいた記憶も同時に存在している
それでも、俺は確かに定食屋にいたはずで、今目の前に広がるのはただ何もない空間だ
あるのは果てしなく続く凹凸のなく平らな地面、上にはただ「上」があるだけだ
「空」ではない、ただ「上」だと認識できる「空間」
その「上」では太陽と月が高速で回転し、昼と夜を刻んでいる 俺は俺の周りをぐるぐると回る影を見ながら体育座りをしてしゃがみこんでいた
だんだんと気分が悪くなっていく
吐き気でも頭痛でもない、何とも言えない気持ちの悪さ
そのあまりに、体育座りのままうずくまった 急に風が感じられるようになった
生温い感覚が通り抜けていく
気になった俺は、両腕の隙間から様子を伺う
瞬く間にこの変な場所が見慣れたいつもの景色に塗られていく
自分の傍から遠くまで、広がっていく感じ
なんていえばいいのか表現に困るけど、ちょっと違うけど、ゲームなんかでワールドの読み込み直後みたいな
気が付いたら俺は見知らぬ交差点の真ん中で体育座りをしていた いままでなかった騒音が聞こえ始める
まるで地下鉄の駅の階段を上がったときみたいに
まだあのいやな気持ちの悪さを感じる 通る人たちの靴に何度もぶつかり、睨まれる
なかなか立ち上がれないでいると、強い力でがっと手を掴まれた
逃げないとなって思ったけど、引っ張られるがままに人で溢れる歩道をぶつかりながらも進み、喫茶店に入った
引っ張っていたのは紛れもない変な男だった 二人席で男と向かって座った
男はまた次々と様々な言語を試しながら俺に何かを言う
さっきと同じように日本語で「分かるか?」と言った
俺は苛ついて、「さっきも言っただろ」と言う
男は「そんなことを話しに来たのではない」と言った
俺が苛立ちを見せると、
男は「いまからする質問にだけ答えろ」と続ける
「お前の元居た場所は?」
「(定食屋の名前)」
それだけ言うと、男はアメリカンをぐいっと飲んで席を後にしようとした
この男はいろいろと知っていそうだ、そう思い、俺は呼び止めた
「俺はお前の質問に答えた、お前も俺の質問に答えたらどうだ」
男は呆れた顔をして、
「いいだろう、但し一つだけだ」とぶっきらぼうに言う
「さっきのは何だったんだ?」
男は少しの沈黙の後、「知らないほうがいい」とだけ言い捨てた
今度は呼び止めても戻ってこなかった 男は人混みに溶けて見えなくなった
気が付いたとき、俺は定食屋にいた
あの男がいるのではないかと後ろを振り返った、そこには普通の客が座っていた
あの場所は何だったのだろうか、今でも夢だったのではないかと思う、それでもあれは俺は確かにあのときあの場所にいた ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています