「豚の福祉」の向上、EUに次いで米国でも加速 日本だけ取り残される懸念も

 身動きのとれない狭い檻に閉じ込められたままの母豚から生まれた豚の肉の販売を禁止する州法が今年1月、米カリフォルニア州で施行された。同様の飼育法は、欧州連合(EU)はすでに禁止しており、米国も追随し始めた形だ。主要先進国の間でアニマルウェルフェア(動物福祉)への取り組みが急速に進む中、日本だけが取り残される懸念が出てきた。

米最大の消費州で禁止に
2018年秋の州民投票で成立したカリフォルニア州法は、養豚業者に対し、妊娠中の母豚が自由に動き回れるよう1頭あたり最低24平方フィート(約2.2平方メートル)のスペースを設けるよう義務付けている。正方形にすると約1.5メートル四方の大きさだ。このルールを満たして生産された豚肉であることを証明しないと、同州内で販売することができない。同州の人口は米最大で、米国の豚肉消費量の約13%を占める。
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マクドナルドは今年中に全量切り替え
企業の対応も大手を中心に迅速だ。豚肉生産最大手のスミスフィールド・フーズは「2021サステナビリティ・インパクト・リポート」の中で、同社が米国内外に所有する直営農場では、妊娠中の母豚はすでに全頭「群飼い」で飼育していると報告している。
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環境・人権の二の舞に
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 日本企業は2000年以降、欧米先進企業の主導で作られてきた人権や環境に関する国際ルールに振り回され、実際の事業にも大きな影響を受けてきた。それと同じことが今、アニマルウェルフェアで起きようとしている。
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