0001以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします🐙
2024/03/23(土) 15:16:19.550ID:tNdSHOAt0「炎の稲妻」と呼ばれた全日本プロレス時代の大仁田厚。その華麗なレスラー人生の終わりを告げる「バキッ」という音が響いたのは１９８３年４月２０日、東京体育館でのへクター・ゲレロとの防衛戦の試合後のことだった。
試合の２、３日前から歩行の際に左ひざに激痛を覚えていた大仁田。自身のファイトスタイルを守り、メキシコ遠征時から跳び続けていたため故障の前兆は確かにあったが、この日も強行出場。勝利の直後、ほんの１メートル１０センチほど下の床に着地した際、全体重がかかった左ひざを床に強打。その場でまったく動けなくなった。
「ひざの皿が５つくらいに割れていて、骨が飛び出した。絶望だったですね。頭の中がごちゃごちゃしてました。真っ白になっちゃって。そのまま慶応病院に運ばれて、（００年に）亡くなった百田義浩さんが面倒見てくれて…」―。
４０年後の今でも痛みを思い出すのか、顔をゆがめて振り返った。
診断は左膝蓋骨粉砕骨折の重傷。「１か月入院していて、病院が嫌で逃げ出した。生まれて初めての入院生活だったから。おふくろの三鷹の家に逃げたけど、入れてくれなかったなあ。先生に聞いたら『プロレスはもう２度と出来ない。無理だよ』と言われて、自分が壊れてしまった」―。
そうつぶやいた後、「死のうかなと思ったけど実行しなかっただけ。プロレスしか知らなかったから、どうしたらいいとか将来的なことは何も考えられなかった」と続けた。
それから１年。「ひざに鉄とか釘が入っていた。足は歩くだけで痛かった」という状態の中、過酷なリハビリのかたわら前座試合に復帰したが、その内容は全く精彩を欠くものだった。
８４年１２月２日に引退をかけてマイティ井上のインターナショナル・ジュニア王座に挑戦も敗北。ジャイアント馬場、元子夫妻からの引退勧告を受け、８５年１月３日、聖地・後楽園ホールで引退式を行った―。
これが一度目の引退に関する通説だったが、今回、きっぱりと否定した。
「（引退勧告は）馬場さんからじゃないです。僕から言ったんですよ。『これ以上続けることはできないと思います』って。そうしたら、馬場さんが『そうか〜、終わりか』って。（引き留めは）なかったです」とポツリ。「そういう人ですよ。声をかけようと思っても、一言で終えてしまう」と淡々と振り返った。
全日の同僚たちは一様に冷たかった。
「男のジェラシーの世界だから―。心の中では見下していて、ケガして、ちょいちょい（いい気味）みたいに思ってたんじゃない？ 冷ややかな空気をひしひしと肌で感じたもの」と回顧。唯一、人間味があったのが、あのスーパースターだった。
「あいさつに行った時、周りは白い目で見る中で俺の肩にポンと手を置いて、『久しぶりだな、元気か』って言ってくれたのは（ジャンボ）鶴田さんだけだった。この人、スーパードライだと思っていたけど、人間味もあるんだなって、すごく感じましたね」―。
１５歳から、その世界しか知らなかったプロレスの世界から締め出され、ひたすら悲しかった。
「引退式を終えて後楽園ホールの駐車場に行った瞬間、体を風が吹き抜けていったんだよね。『ああ、これで終わりか』って」と遠い目で振り返ると「真っ暗になりました。引退式を終えた時は自分の中で『（第二の人生を）やれるんだ』って自信はあったけど、何をやってもダメだった。何をやってもうまくいかない」―。
プロレスしか知らない２６歳に世間の風は冷たかった。
「プロレス時代の人脈を生かそうと思って芸能界に顔を出したり、ウイスキーやビールを運んだり。牛肉の輸入をしようとアメリカに行ったけど、相手にされなくて。テキサスまで行ったけど、話も聞いてくれなかった」―。
「７回引退したのをいろいろ言われるけど、１回目は引退というものを、ちゃんとしたんですよ。だけど、誰も引退して足の悪いプロレスラーに目を向ける人なんていなかった」―。
https://hochi.news/articles/20231225-OHT1T51034.html
