関わりを避け息を潜めるように生きる――。そんなひきこもり状態にある人(15~64歳)はいま、全国に146万人いる。「外からみえない」「声を上げない」人の話を聞き続けるジャーナリスト池上正樹さんは「その心の内を知ってほしい」と語る。(高橋淳)

ひきこもる人は、いまだに「家族に甘えている」「働かないで楽をしている」と言われることが多いが、「それは全くの誤解。実態はまるで違います」と強調する。

 では、ひきこもりとは何か。「過酷な状況を生き延びるための防御反応であり、そんな状況はいつ誰に訪れてもおかしくありません」と語る。

例えば、学校や職場でのいじめやハラスメントで尊厳を傷つけられる。厳しい労働環境で心身の健康を脅かされる。様々な事情が重なり他人が怖くなると、人との関わりを避けざるを得なくなる。「それでも自死を選ぶのではなく、何とか生きようとしている。それがひきこもっている人の心の内です」

そうした実情を踏まえた上で、ひきこもり状態からの回復には何が必要なのか。まずは、傷ついた心と体をじっくりと癒やすことだが、実際は本人や家族は、社会的なプレッシャーにさらされ続けている。

働かないのはいけないこと、親の収入に依存し迷惑をかけている……。何より本人が「ふがいない自分」を責め、苦しい思いで日々を送る。「これではいつまでも気持ちが休まらず回復は遠のく」と指摘する。

続きは朝日新聞 2024/02/03
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