0001以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします
2023/09/10(日) 22:42:30.096ID:I93x0F7aM現在は京都大大学院の修士課程2年。「まごとも」には「孫世代の友達」の意味を込めた。学生のスタッフが、高齢者や家族からの依頼を受けて出向き、友達のように過ごす。一緒に外食したり、デパートで買い物をしたり、インターネットの使い方を教えたり――。孫のような、友達のような存在として寄りそう。当日の様子を写真付きで家族に報告することもできる。
起業のきっかけは「違う世代の価値観を知りたい」と、大学院生になって始めた特別養護老人ホームでのアルバイトだった。人と話すのが好きで、高齢者にも友達のように話しかけ、交流を楽しんでいた。利用者も「若い人と話すと気持ちが若返る」と喜んでいた。
だが施設の職員からは「相手は年上なのだから丁寧な言葉遣いをして」「話すよりも早く作業をこなして」と求められた。人手不足の施設では、効率よく介護をこなすことが何より重要とされた。
自分が接した高齢者は、同じ目線で会話をするだけで喜んでくれた。「介護とは別の形で高齢者に寄り添えるサービスがあるのでは」。そんな気付きを得た。
起業家が集う場で出会った仲間と準備を進め、22年2月に株式会社「Whicker」を設立。街頭でチラシを配り、介護施設へ営業を重ねた。当初は難航したが、立ち上げから半年ほどで問い合わせが増え始め、現在は月間で30件ほどの依頼を受けるように。SNS(ネット交流サービス)での発信にも力を入れ、理念に共感する学生スタッフの応募も増えた。現在は京都市内の大学生を中心に60人ほどの「まごとも」が登録している。
課題も見えてきた。高齢者とやりとりをしていると急に連絡が途絶えたり、体調不良で急にキャンセルされたりすることも少なくない。中には「学生なのに金を取るのか」と言われることもある。
それでも、利用者や家族の声にはやりがいを感じる。認知症のため一人で外出できなくなった利用者に付き添い、かつての行きつけの喫茶店に行った際は「この時間が人生唯一の楽しみや」と言ってくれた。家族からも「引きこもりがちだった親が明るくなった」と感謝の声が寄せられた。そんな声が背中を押す。
今後は全国の主要都市での展開を目指す。既に東京や大阪でも数件の依頼があった。「利用者には若者から元気を分けてもらい、学生は高齢者から人生経験や知識を学べたら」。単なる介護ではない、いっぷう変わった「友達」の挑戦は始まったばかりだ。