死んだ奴に唾吐くような事すんのやめないか?
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死後に悪口を言うべし
われわれは死者のことをなるたけ早く忘れたいのです。憎まれ嫌われていた死者のことほど早く忘れたいのです。
そのためにはほめるに限る。ですから死者に対する賞賛には、何か冷酷な非人間的なものがあります。
死者に対する悪口は、これに反して、いかにも人間的です。悪口は死者の思い出を、いつまでも生きている人間の間に温めておくからです。
ですから私は死んだら、私の敵が集まって呑んでる席へ行って、みんなの会話をききたいと思う。
<全くいい気味だ。あのいけ図々しいキザな奴がいなくなって、空気までキレイになった>
<本当だよ。あんな阿呆に、よく永いこと世間がだまされていたもんだ>
<あいつはバカの上に大ウソツキで、あいつと五分も話してるとヘドが出そうだった>
こんなことを言っている連中の頭を、幽霊の私はやさしく撫でてやるでしょう。
私はどうしても、ピンシャン生きているうちに私が言われていたのと同じ言葉を、死後もきいていたい。
それこそは人間の言葉だからです。
三島由紀夫『不道徳教育講座』 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています