「海外パビリオンがいまだにゼロ」と早くも開催に黄信号が灯る大阪万博。しかし2005年の愛知万博は準備段階から何もトラブルなく大成功に終わったことは皆さんもご記憶のことだ。
「愛知万博は「トヨタ万博」とも揶揄されていましたが、日本で一番の大企業のトヨタ自動車の企業城下町だからこそ経済的バックアップができていた。今の大阪には有力企業が存在しないため、今大会を支える会社の顔触れもパッとせず、基盤がなっていません。万博をめぐる失態は今の大阪の都市のレベルを物語っているのです」(万博ウォッチャー)

かつては西日本最大都市として東京と肩を並べる存在だった大阪。しかし実は2015年に大阪は愛知にGDPで抜かれている。かつては東京をライバル視していたが、いまや愛知に抜かれつつあるということだ。その流れは今後決定的になるという。
「2027年にリニアモーターカーが品川〜名古屋間に開業予定ですが、その先の延伸計画は定まっていません。もし名古屋で打ち止めが永遠に続くようならば、大阪に遭った経済拠点機能が名古屋に移転する可能性もあるのです」(鉄道マニア)
日本地図を見れば、愛知と大阪は100kmしか離れていない。一方で、昔は西日本に大阪以外に都会はなかったが、いまは福岡が急成長し、半島・大陸に近い地の利を生かしアジアとの拠点都市としても栄えている。
大企業の地盤もなければ国際的な優位性もない大阪は立ち位置的に中途半端な存在で、最後に残った支店経済的な拠点機能も福岡と名古屋に「股裂き」にされ、一気に没落する可能性が高いのだ。

このような大阪をとりまく不都合な真実は、地元民にとっては相当コンプレックスを刺激することだ。
「何しろ戦前であれば人口も経済も東京を凌駕した「大大阪時代」がありました。しかし300万から200万台に衰退し、人口だけを見えれば東京のベッドタウンの横浜に300万都市の地位を奪われて久しいのです。200万都市といえば名古屋と札幌の2つですが、ここまで全部東日本の都市です。東京、横浜、名古屋に抜かれ、札幌と同格扱いだなんて「西からのルサンチマン」をこじらせるのは当然でしょう」(大阪ウォッチャー)
大阪ではこの10年以上橋下徹氏にはじまる「維新」の牙城が続いている。海外での維新の評価はヨーロッパで言う右翼ポピュリスト政党に近く、向こうの基準だと「都会に奪われて没落する田舎の高齢保守層」が支持するような政治だ。そのセオリーが先進国の主要大都市のはずの大阪でまかり通ること自体異様だ。しかしそれほどまでに大阪の斜陽傾向が激しく、日本国の中に別の国が存在するような社会分断が形成されてしまっていることを意味するのだ。