秋田を代表する民俗行事で大みそかの風物、「男鹿のナマハゲ」が、人口減や少子高齢化を反映し、担い手確保に苦心している。

 1978年に国の重要無形民俗文化財に指定されたナマハゲ。行事は本来、集落に住む若い男たちが異形の面をかぶり、ワラでできた衣装を身にまとった「ナマハゲ」に扮ふんし、家々を訪問。「泣く子はいねがぁ(いないか)」などと言い、子どもを戒める。しかし、56世帯の双六集落では、市外に住む集落の出身者でないよそ者をナマハゲの担い手として受け入れ、行事を存続させている。

 男鹿市教委によると、市内147町内会のうち、「担い手がいない」などの理由で、現在は86町内会での実施にとどまっている。40年前の77年は実施率が95%を超えていた。

 中心部から離れた双六集落でも、若者の流出が年々深刻化し、20~30歳代がめっきり減った。毎年、ナマハゲ4体が20世帯ほどを回っているが、ナマハゲを担うのは60歳以上が中心だ。

 「このままでは近い将来、ナマハゲをやれる人はいなくなる」。約10年前、集落のナマハゲ行事を取り仕切る三浦幹夫さん(68)が危機感を抱き、「ナマハゲやりたいっていうよそ者がいたら紹介してほしい」と市に相談し、存続を図っている。

 男鹿市教委によると、ナマハゲのなり手としてよそ者を継続的に受け入れているのは双六集落のみ。市教委の担当者は「市外のよそ者を受け入れている双六集落の動きがもっと広まれば」と話している。