◯月夜に提灯
〈解説〉月夜は「腋」を部首に分け表記したもの、提灯は陰萎の隠喩(※1)であり、脇の剃り残しに性的興奮が冷める様から転じて、興趣を解する心を持たないこと、無粋であることのたとえ。
「些細な手抜かりが感興を醒めさせる」という意味で用いるのは誤用であるが、文化庁が2020年に実施した「国語に関する世論調査」においては前記の意味と回答した割合は70%を超え、本来の意味との回答は15%に留まった。誤用が広まった背景として、近年の美容脱毛の浸透による社会一般の衛生観念の変化等があげられる。

※1.江戸時代、「お祭り」が性交を意味する隠語であったことから、たたんで小さくなった提灯が陰萎の隠喩となっていた。『街談文々集要』(文化六年)に『十七をとぼそうとせし年寄は御まつりもなくたたむ提灯』という狂歌が収録されている。