主人公・氷室洋平は「陰キャ」のレッテルを貼られた高校生。友達が一人もいない彼は、いつも教室の隅で妄想の世界に耽溺していた。
ある日、クラスに転校生がやってくる。洋平はその姿を見て驚愕。なんと、その姿は彼の妄想の中に出てくる理想のヒロインと瓜二つだった。いや、見た目だけではない。名前も声も性格も、何もかもが彼の作り出した「九城ヶ崎ルナ」そのものだったのだ。
自己紹介を終えたルナは、まるでそれが当然のことであるかのように洋平の隣の席に腰掛ける。そして、妄想と寸分違わぬ笑顔で語りかけるのだ。「おはよう、洋平くん」と。
クラスで一番存在感の薄い陰キャが、転校してきたばかりの美少女に懐かれているとあっては、当然のごとく騒然となり、洋平は放課後に不良グループに問い詰められてしまう。だが、そんな不良たちの心臓を鋭い氷の刃が貫いていた。洋平が設定したルナのスキル、「烈刃氷結殺」が発動したのだ。
突然のことに慌てふためく洋平だったが、自分の決めた設定が反映されていることに気付き、ルナに死者蘇生のスキルを身につけさせることで事なきを得た。
その後も様々な厄介事が起こる度に洋平はルナに新たな設定を付け足していき、いつしか彼女は10000のスキルを身につけた最強のヒロインと化していた。その圧倒的な力に恐怖を覚えた洋平は次第に彼女と距離を置くようになるが、それに気付いたルナは洋平を離すまいと自らの体内に取り込んでしまう。そして彼は、「ルナの妄想の世界の住人」にされてしまうのだった。
果たして、彼はルナの支配から逃れ、元の生活に戻ることができるのか!?