死者5名の米議事堂乱入事件 なぜトランプ支持者は警官に銃を向けられても侵入したのか

 1月6日の午後、ニュースに映るアメリカ合衆国議会議事堂の映像に誰もが息を呑んだ。何百人もの暴徒が星条旗や「TRUMP」と染め抜かれた旗を振りながら議事堂に突進し、警官隊と激しく衝突していたのだ。

 暴徒は警官とつかみ合い、殴り合った。催涙スプレーを吹きかけられる者もいた。しかし自宅や職場から映像を見る黒人市民の多くは、暴徒が警官に射殺されることはないと知っていた。暴徒の圧倒的多数が白人だったからだ。同時に、これがもし黒人なら瞬く間に一斉射撃になっているだろうとも考えた。

 やがて暴徒は米国民主主義の象徴である議事堂の内部になだれ込んだ。

 昨年、全米各地の路上で行われたBLMデモには大量の警官隊が出動したが、議事堂での暴動になぜこれほど少数の警官しか出動しなかったのか。BLMに対して多用されたゴム弾の使用もなかった上、フル装備の兵士が駆け付けたのは2時間以上経ってのことだった。

 アメリカの人種ダブルスタンダードが、はっきりと映し出された瞬間だった。本稿では今回の暴動の人種にまつわる部分を考察するが、その前に事件の概要を記す。

https://bunshun.jp/articles/-/42790?page=1