それなりの「必要性」があれば人工妊娠中絶は正当化される--そう考える人がたくさんいるのは知っている。

でも私とパートナーに、そんな必要はなかった。お金の心配はないし、一緒に暮らし始めて5年以上たっていた。家も共同所有。だから中絶の必要性はなかった。でも権利はあった。

ある日、検査キットに2本のピンクの線が現れた。当時、私は27歳。きちんと避妊していたからショックだった。

その夜、帰宅したパートナーに妊娠を告げ、私は泣いた。彼は無言で、一緒に泣いた。

2日後、パートナーと一緒にクリニックに行き、中絶薬を飲んだ。その日は彼も仕事を休んで、ずっと私と一緒にいてくれた。うれしかった。

中絶を選ぶのに「必要性」は関係ない。それは生き方の選択なのだから。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/woman/2022/06/post-690_1.php