不倫スキャンダルで大炎上でも当選した黒岩祐治知事…なぜ神奈川県知事は究極の無能でも勝ててしまうのか？
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知事戦のさなかに不倫スキャンダルが暴露され集中砲火を浴びた神奈川県の黒岩祐治知事。しかしフタを開けてみれば「断トツ黒岩票」の圧勝状態。2011年の初当選以来12年にも及ぶ在任期間は、あの「第二次安倍政権」より長い。
そんな「無敵状態」が続く黒岩知事だが、決してカリスマ性があるわけではない。橋下徹元大阪知事や故石原慎太郎元東京都知事・翁長雄志沖縄県知事のように、独自の政策実現のためには国と喧嘩をしてでも手腕を発揮するようなタイプの政治家でもない。そもそも黒岩知事に政策らしきものは見当たらない。初出馬当時こそ「脱原発ブーム」に乗じて200万戸ものソーラーパネルの普及を訴えたものの当選後にあっさり撤回してしまったし、大阪都構想に対抗してか「神奈川独立」を打ち出したものの住民投票などを具体的に着手することもなくトーンダウンして、それから10年経ってもスッカラカンのままである。この長い任期の中で記憶にのこるやったことといえば県庁舎で「恋チュン」を踊っていたことしか浮かばないくらい。不倫スキャンダル抜きに、これほどひどい体たらくのスッカラカン知事なのに勝ち続けている体たらくには驚いてしまうばかりだ。
なぜこうなってしまうのか。それは神奈川県特有の事情がある。 他の候補が激弱ってことは日本の政治家は神奈川で権力持っても仕方ないと思っている 元々別にイメージ良くなかったからスキャンダルでも大して下がらなかった説 まず神奈川県がベッドタウンであるということだ。
県民人口は900万と、となりの東京都に次いで全国2位を誇るが、そのほとんどは都心1時間圏に住むベッドタウン住民だ。いわゆる「神奈川都民」である。
つまり多くの県民は、東京に通うためのマイホームとして神奈川に住んでいるだけであって、家に寝に帰る以外平日のほとんどを東京で過ごしている。
仮に職場や通学先が県内であったとしても、休日には余暇などで都内に出ることが盛んで東京に意識が向きがちなのだ。現に多くの県民が「知事」とだけ聞いて思い浮かぶ人物像は小池百合子東京都知事である。
こうしたベッドタウン地帯では神奈川人という意識は形成しづらい、通う先の東京か、寝床のある地元の市かという世界観が形成されがちで、神奈川意識に乏しくなる。
そのため神奈川県民の多くは住まいを聞かれれば神奈川ではなく「横浜」とか「横須賀」「鎌倉」「茅ヶ崎」と市単位で答える人が多く、地元アイデンティティの置き場も市に強くなりがちだ。市政の方が県政よりも関心が高くなるので、県知事のことなんかどうでもよくなるのである。 また神奈川県は横浜、川崎、相模原と政令指定都市が3つも存在する。
これは全国の都道府県で最多であり、この3市を足すだけで神奈川県の人口の半分以上に匹敵する。
政令指定都市では多くの権限が県からおろされており、それ以外の市町村では県が担う高度な業務や政策を市政で実施している。
とくに県都の横浜は昔からその傾向が強く、横浜ベイブリッジの建設やみなとみらい・港北ニュータウンの整備といった大規模開発は飛鳥田市長時代の市の政策だ。規模で言えば国策でもおかしくないことを、県を飛び越え横浜市だけでやっていたのである。
つまり県民の多くを占める政令市住民にとって神奈川県は「二重行政」でしかなく、水道くらいしか県の取り組みを意識することもないので、県政への関心は低下しがちなのだ。 加えて批判勢力の不在がある。
黒岩県政はいわゆる「与野党相乗り知事」であり、国政では野党に属する政党が、その支持組織をひっくるめて県政ではオール与党になっている。
現に2011年の初当選当時の政府は民主党政権だったが、自民党に政権交代しても、県政の方向性が「ぶれなかった」のはそのためである。
オール与党であるからこそ、野党の権力監視が弱まってしまう。結果何もしない無能知事でも、叩かれずに仕事をしなくなるのである。
マスメディアの監視も弱い。
神奈川は東京のベッドタウンなので、テレビはキー局が、新聞は全国紙がほとんどを占めている。地域情報に特化したテレビ神奈川・神奈川新聞の存在感は無に等しい。主要マスコミの関東ローカル枠に出てくる話題は東京都政の問題のみだ。
これが田舎の県であれば、テレビは県域単位の放送で、新聞は県紙がシェアで圧倒しているので、おのずと県政の報道中心となり、県政の課題に県民が触れる機会が多くなる。
人口や経済規模では神奈川よりはるかに小さな県の方が、知事が仕事をする、問題があれば政局に発展して次の選挙で知事の交代が起きるのはそのためなのだ。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
