絶望感、無力感が破壊衝動に 闇堕ちしやすい独身男性とフェミサイドの生まれ方
https://www.newsweekjapan.jp/mutsuji/2023/03/post-165.php


<イギリスは2021年にインセル(非自発的単身者、結果としての独身)を「数年以内に過激化する恐れのあるカテゴリー」に認定した。
過激なインセル思想に基づく暴力への警戒感が世界的に高まっている>

・欧米では女性に憎悪を募らせた独身男性の暴力がヘイトクライムやテロと認定されている
・「結果としての」独身男性には特有の性格があることが調査で明らかになっている
・日本では統計上の処理により、この問題が「ない」ことにされている

結婚したくてもできない独身男性が女性への憎悪に染まりやすいことに、世界各国では警戒が高まっている。

英国で「過激化する恐れ」認定

イギリス内務省は2021年、インセルを「数年以内に過激化する恐れのあるカテゴリー」に認定した。
インセル(involuntarily celibate: incel)は日本語で非自発的単身者と訳せる。異性との交際が長期間なく、経済的理由などで結婚を諦めた、「結果としての独身」という意味だ。
本来この俗語は性別に関係ないが、最近の用法では男性にほぼ限定される。
イギリス政府が警戒を募らせた転機は、2021年8月に西部の港町プリマスで発生した銃乱射事件だった。3歳の女の子とその父親を含む5人を
狙い撃ちにした後に自殺した22歳の実行犯ジェイク・デヴィソンはインセルを自認し、メンタルヘルスに既往歴もあった。
この事件はミソジニー(女性嫌悪)、フェミサイド(女性殺し)の典型例とみられている。
そのため、イギリスでは女性嫌悪が広がらないよう学校で指導するなど、過激化防止の取り組みが始まっている。