“スト2”で春麗を選び、女子とばかり遊んでいるのは「男失格」だった。性別の括りがしんどい僕の話
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性別が、面倒くさい。

僕は生物学上、男性に分類されている。実際、身体の性が男性であることに違和感はない。心の性が男性であることにも納得している。

じゃあ性別の何に対してそんなにモヤモヤしているのかというと、社会的に見たときに自分が男性という記号を背負わされたり、男性としての性役割を期待されたりすることに対して、戸惑いというか、据わりの悪さを感じてしまうのだ。

『ストⅡ』は、世界各国に散らばる8人のファイターから自分の操作キャラクターを選択する。僕は決まって春麗だった。春麗は、唯一の女性キャラ。他の男の子はほとんどリュウかガイルに人気が集中していたし、パワープレイが好きな子はザンギエフ、ウケ狙いでダルシムを選ぶ子もいたけど、春麗を選ぶのは僕しかいなかった。

この傾向はその後も変わらない。『餓狼伝説2』で選ぶのは不知火舞だったし、『マリオカート』ならピーチ姫。自分が男性キャラを選ぶという発想は当時の僕にはなかった。

そんなナヨナヨしていると言われる性格は、少しずつ男子同士の中でからかいや攻撃の対象になる。そのたびに、なんだか男子って面倒くさいと思うようになった。次第に男子のコミュニティと距離を置き、女子と遊ぶ機会が増えはじめる。いつしかそちらの方が僕にはよっぽど自然に感じるようになった。

とはいえ、自分が男子であることに疑いはなかった。女の子になりたいとか、女の子の格好がしたいとか、そういう気持ちはまるでなくて。ただただ思っていたことは、男子に分類されるのが嫌、だった。

ご尊顔
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1983年生まれ。大阪府出身。テレビドラマから映画、演劇までエンタメに関するインタビュー、コラムを幅広く手がける。mi-molletでの連載「推しが好きだと叫びたい」をベースにしたコラム本『人類にとって「推し」とは何なのか、イケメン俳優オタクの僕が本気出して考えてみた』(サンマーク出版)が発売中。