日本語と中国語の違いに起因するらしいな
結論、日本語では貸すことは「貸す」であって「借す」とは言わない

あるものが、それを持っている人から他の人へと一時的に移動する場合、日本語では人を中心に現象をとらえて、もと持っていた人から見ると「かす」、相手の人から見ると「かりる」と表現します。しかし、中国語では、ものを中心に現象をとらえて、とにかくその所有者が一時的に変わることを、「借」「貸」と表現するのです。この2つの漢字は、中国語では基本的な意味は同じなのです。
その結果、中国語としての「借」「貸」は、日本語に翻訳するときには「かす」「かりる」の両方の意味で訳せることになります。ちょうど、英語のcomeが「行く」と「来る」の両方に訳せるのと同じです。漢和辞典で「借」「貸」を調べると、意味として「かす」も「かりる」も載っているのは、そういうわけなのです。
しかし、日本人としては、これは困ります。「かす」も「かりる」も一緒では、トラブルになりかねません。そこで日本語としては、「かす」は「貸」で、「かりる」は「借」で表すのです。