◇裁判長「無罪言い渡すべき新証拠」
 大善文男裁判長は、犯行時の犯人の着衣とされる5点の衣類について「事件から相当期間を経過した後に捜査機関がみそタンク内に隠した可能性が極めて高い」と指摘し、地裁決定に続き捜査機関による証拠の捏造(ねつぞう)の可能性を認めた。

 差し戻し審の争点は、「5点の衣類」に付着した血痕の色調の評価だった。袴田さんは勤務していたみそ製造会社の専務と家族3人を殺害したなどとして66年8月に逮捕され、静岡地裁の公判で無罪を主張する中、67年8月に同社の工場のみそタンク内から大量の血が付いた5点の衣類が見つかった。確定判決は、袴田さんが逮捕前にみそタンクの中に衣類を隠したと認定して有罪判断の最大の根拠にした。

 確定判決は5点の衣類の血痕の色は「赤みがある」ことを前提にしていたが、弁護側は独自にみそ漬け実験を行い「みそ漬けされた血痕は黒褐色に変わる」と矛盾する結果を得た。静岡地裁はみそ漬け実験の信用性を認めて再審開始決定の根拠の一つとしたが、差し戻し前の東京高裁決定は信用性を否定して地裁決定を取り消した。最高裁は血痕の色調の変化に関する審理が足りないとして、高裁に差し戻した。

1966年、静岡・旧清水市で一家4人が殺害されたいわゆる“袴田事件”で死刑が確定した袴田巌さん(87)について、東京高裁は13日、再審を認める決定をした。これを受け、同日、静岡県警は「あくまでも法曹三者で審理しているため、静岡県警は関与しておらず、お答えする立場にはない」とのコメントを発表した。

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