日本人の伝統的な自然観は, 豊かな自然に恵 まれ、四季の移りかわりをもつという列島の風土のなかで育まれた。
自然の働きに素朴な驚きと畏怖の念をもち, 自然と対立することなく親しみをも感じながら共存するという感性は, 日本人の宗教観や道徳観, 世界観の基礎となっている。
古代の日本の人々は、不可思議な力をもち, 畏怖の念を起こさせる存在をさしてカミ(神) と呼んだ。 日本のカミは、ただ一人の人格神ではなく、八百万神と呼ばれる無数の神々である。
日本の神話である 『古事記』に見られる神々は次々に神々を生みだすような「生む」神々 でありそして次々と「なる」神々である。
また, カミ (精霊) は山や川,草や木, 鳥獣や人間など自然のあらゆるものに宿るとされた。
このよ うに,さまざまな事物に霊魂を認める信仰をアニミズムと呼ぶ。
カミは自然を通して豊かな恵みをもたらす存在であり一方で疫病や天災などの災厄をもたらす存在でもあった。 人々はカミに対して収穫の恵みを感謝し, 災厄から逃れることを願った。 これが祭り(祭祀)である。こうした神をまつる儀礼として神道が成立していった。