0049以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします
2023/03/07(火) 22:23:23.322ID:T16GuW3K0彼の小説はベストセラー。ドラマ化されて映画にもなった。
世界的な賞をいくつも受賞し、インタビューや講演会で引っ張りだこだった。
彼は幸せだった。
けれどもそれはただの夢だった。
目を覚ますと彼は無名の作家だった。
彼の小説は一冊も売れず、出版社からは締め出され、それでも書き続けたが神は報いてくれなかった。
「わたしはなんて不幸なんだろう」
彼はため息をついてまた布団に横になった。
ある売れない作家が眠りに落ちたころ、地球の反対側で一人の男が目を覚ました。
彼は有名な作家だった。
彼の小説はベストセラー。ドラマ化されて映画にもなった。
世界的な賞をいくつも受賞し、インタビューや講演会で引っ張りだこだった。
だが彼は不幸だった。
彼はかつて自分の中に確かに輝くものを持っていた。
その光の指す方にはいつだって楽しい世界が広がっていて、彼はそれを小説にするのが大好きだった。
けれども今はもう何もない。
世界中の誰もが彼の作品を褒めるが、彼の中の輝きはすでに消えて跡形もない。
「わたしはなんて……」
彼の苦しみを知るものは一人もいない。
ある有名作家が眠りに落ちたころ、地球の反対側で一人の不幸な男が目を覚ました。
彼には味方が一人もいない。
彼の中の輝き以外は。
彼は今日も書き続ける。
彼の世界をまっすぐに。
その幸せは、地球の裏側の誰かしかしらない。