新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症すると、心臓発作や脳卒中などの心血管系の病気を引き起こす長期的なリスクが高まることが知られています。しかし、新たに発表された研究によると、ワクチンの接種を受けた人はそのリスクが低下することが指摘されています。

Impact of Vaccination on Major Adverse Cardiovascular Events in Patients With COVID-19 Infection | Journal of the American College of Cardiology
https://doi.org/10.1016/j.jacc.2022.12.006

ニューヨークのアイカーン医科大学マウントサイナイ校の研究者が主導したこの研究では、2020年3月から2022年2月の間に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した190万人を超える患者の医療記録が調べられました。その患者のうち、心臓発作、脳卒中、その他の心臓の病気という「心臓の有害事象」が1万3948人に確認され、その後に3175人が死亡しています。

全体として研究者らは、ワクチン接種完了、または1回でもワクチンを接種された人は、COVID-19の症例後6カ月間において心血管系の病気を発症する割合が減少していることを発見しました。人口統計や合併症、パンデミック発生からの期間を調整した結果、ワクチン接種が完了していると主要な心臓病の発生リスクが約41%減少し、1回でもワクチン接種を受けているとリスクが約24%減少することがわかりました。

主要な心臓病が発生した場合、発生日の中央値はCOVID-19感染開始後17日目、最後のワクチン接種から212日目でした。全体として、ワクチン接種の有無にかかわらず、感染後に心臓イベントを起こすリスクが最も高いのは、男性、高齢者、他の基礎疾患を持っている人でした。心臓疾患の既往歴があることが最もリスクを高めていましたが、糖尿病、肝臓疾患、肥満、高コレステロールも重要な危険因子でした。

この研究の筆頭著者であるJoy Jiang氏は、「部分的なワクチン接種でも主要な心イベント発症のリスクが低下することに驚きました」と述べています。また、「世界中でSARS-CoV-2感染が拡大していることを考えると、今回の知見が、特に疾患を併発している人のワクチン接種率を向上させる一助となることを期待しています」と付け加えています。

https://gigazine.net/news/20230222-impact-of-vaccination-on-major-adverse-cardiovascular-events/