【閲覧注意】サザエさんのガチのマジのホラー二次創作
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
タラちゃんが交通事故で亡くなり、一年が経っていた。
今だに姉さんはショックから立ち直れないでいる。
だけど傍から見れば以前となんら変わりのない元気な姉に見えるだろう。
それは、姉さんの中では全てが以前のままだからだ。 姉さんは荒い呼吸を繰り返している。
僕は空いている方の手でその背中をさすった。
噛み付かれた手は姉さんの口の中で血を流しているようで、指を伝い赤いものが見える。
フネ「サザエッ!?な、な、なんだいこれは……」
ワカメが呼んだのだろう、母さんが部屋に入ってきた。
一瞬動揺したようだが、気丈な彼女はすぐに状況を把握し、僕らの側に座る。 フネ「サザエ、サザエわかるかい?ほら、カツオの手を離しておやり」
サザエ「うぅう……」
母さんの言葉が届いたのか、一瞬顎の力が弱まった。
その隙に僕は手を抜いた。 かみ砕かれ無かったのは幸いだけど、指の根本には引き裂かれたような傷がついていた。
鋭利な刃物でつけられた傷よりも、そうでない物で切られた方が酷い怪我になるという。
この傷はしばらく残りそうだ。
フネ「ほらゆっくり口の中のものを出しなさい、苦しいでしょう」
サザエ「うあぉお」
姉さんは母さんに背中をさすられながら、口の中の綿を吐き出していく。
僕の血で染まった綿は、まるで真っ赤な髪の毛のようにみえた。 サザエ「あぁあっ……たらちゃ……が」
フネ「サザエ、これはタラちゃんじゃないんだよ……」
サザエ「ううぅうああぁあ」
姉さんは母さんの膝に顔を埋めるようにして泣いていた。
次の日、何もかも元通りになったかのようだった。
母さんと姉さんはいつも通り二人で並んで朝食の支度をしていたし、笑い声も響いていた。
ただ、そこにはもう縫いぐるみはなかった。 ワカメは昨日の出来事がショックだったのか口数が少なかったが、明るく笑う姉さんを眺める視線に暗いものはなく、学校に行く時間にはいつもの彼女に戻っていた。
縫いぐるみをタラちゃんと呼んでいた姉さんは以前と変わらないようでいて、やはりどこか異様だった。
だけど今朝の姉さんは昨日までの姉さんとは雰囲気が違っている。
きっと姉さんもタラちゃんを失ったショックから立ち直り、現実を受け入れられるようになったのだ、僕はそう思っていた。 カツオ「ただいまー」
学校は何事もなく終わり、僕は家に帰って来た。
台所では姉さんが昨日のハンバーグで使った残りであろうひき肉をこねていた。
母さんは買い物にでもいったのか、ワカメはまだ帰っていないのか、二人とも姿が見えなかった。
僕は別段気にも止めずに、駆け足で部屋へと向かう。
中嶋たちが野球をするためにいつもの公園で待っているのだ。
昨日の姉さんに噛まれた傷口も、巻かれた包帯こそ痛々しいが、痛みはすっかり引いていた。 僕は早く出掛けたいために、はやる気持ちを抑え切れずに机の上にランドセルを放り投げた。
衝撃でランドセルの中身が散らばるが、気にしてはいられない。
カツオ「いってきまーす!」
靴を履く時間ももどかしく、僕は公園へと走りだした。
だけどしばらく走った後、バットとグローブを忘れて来たことに気がつき、僕は元来た道を引き返すことになった。
カツオ「お、ワカメも帰ってきたのか」
入れ違いになったのだろう、僕が玄関に戻るとワカメの靴が揃えて置かれていた。 カツオ「……姉さんはどうしたんだろう」
さっきは台所にいたはずの姉さんがいない。
だけど早く野球に行きたい僕は特に気にも止めずに自分の部屋へと急いだ。
カツオ「あれ」
てっきり部屋にはワカメがいるものだと思っていた僕は、だれもいないことに拍子抜けしてしまった。
姉さんの部屋にでもいったのか。
カツオ「姉さんの……部屋」 僕は昨日の出来事を思い出し、少しだけ顔をしかめた。
何故だか胸騒ぎがする。
だけど机の上にぶちまけられたかばんの中身に目をやると、そちらに気を取られて勘違いのような不安なんて吹き飛んでしまった。
カツオ「これは……まずいまずい、テストの答案がまる見えだ」
今日返された限りなくゼロに近い数字がかかれた紙切れを僕は慌てて拾いあげる。
こんなものが姉さんに見られたら大目玉だ。
その答案用紙も含め、散らばった荷物をそのままかばんに詰め直し、僕は目的のバットとグローブに手を伸ばす。 その時、廊下の方から物音が聞こえた。
ズル……ズル……と何かを引きずるような音。
そして言葉までは聞き取れないが、何かをぶつぶつと呟くような声。
カツオ「姉さん……?」
僕は何故かその音の正体を確かめることが出来なかった。
襖を開け、廊下に出てしまうのは簡単なのに、どうしても足が進んでくれない。
カツオ「こっちに来てる……?」
その場に動けないでいるうちに、姉さんの声は確実に近づいてきているのがわかる。 昨日姉さんの部屋の前で感じた、警告音のような嫌な感覚が全身に広がる。
姉さんはいったい何をしているのか確かめたい。
この場から逃げ出してしまいたい。
確かめなくては。
逃げなくては。
二つの感情が僕の頭の中で渦巻いて結論が出ない。
逃げようと思えば窓からでも逃げられるのだし、確かめるのには廊下に出てしまえばいいのだ。
だけど僕はそのどちらも選ばず、部屋の中に留まることにした。 押し入れの中に身を隠し、息を潜める。
姉さんがこの部屋に入るとは限らないが、もしもの場合にいきなり鉢合わせてしまう事態を避けるためだ。
押し入れに入ってしまうと謎の音も姉さんの声も聞こえない。
押し入れの襖の模様に紛れるように空けた小さな穴から外を伺う。
そこにはただの日常が広がっていた。
なんの変哲もない僕とワカメの部屋だ。 ただ布団に圧迫されるように押し入れに隠れている僕が息苦しい思いをしているだけだ。
しばらくそうしていたが、姉さんが入って来るわけでもワカメが入って来るわけでもなく、時間だけが過ぎた。
先程僕が感じた危機感のようなものなんて、とうの昔に薄れて消え去って、
なんだか隠れているのが馬鹿馬鹿しく思えてきた。
もうやめよう、気のせいだったのだ。 だって今朝の姉さんはあんなに明るくて、笑顔だった。
口うるさくてお節介な僕の姉さん、ただそれだけなのに、僕はなんで隠れていなければならないのか。
カツオ「……出よう」
そう思い押し入れを開けようと手を掛けた瞬間、廊下と僕の部屋を繋ぐ襖が開かれた。
べちゃり、そんな音を立てて、何かが投げ込まれる。
それがいったいなんなのか僕にはなかなかわからなかった。 サザエ「あれー?カツオは帰って来てたんじゃなかったのかしら?」
真っ赤で、同じ色の液体を滴らせるそれはワカメの服を着ていた。
サザエ「おかしいわねー、一回出てってまた戻ってきたと思ったのに……」
言葉だけ聞けばいつもの姉さんとなんら変わりはないように思えるが、感情の篭らない声と虚ろな瞳は
まるで昨日の姉さんのようだった。 姉さんの服や顔に飛び散った赤い液体と、ワカメの服を着た物を染めるその色が、
誰かの血の色なのだと気づくにはしばらく時間がかかった。
誰か、なんて信じたくはないし信じられるようなことではないけれど、
そこに転がっている赤い塊はワカメで、流れている血は彼女の物なのだ。
服から出ている部分は原形を留めない程にぐちゃぐちゃと何かに切り刻まれたかのような
状態なのに、真っ赤に染まった服をそれでも着こなしているのはどこかシュールな光景だった。 突然のことで麻痺した恐怖心が僕に悲鳴を上げさせようとしている。
それを口に手を押し込み堪えた。
くしくもそれは昨日姉さんに噛まれた方の手で、傷口に僅かに走る痛みが僕の思考をなんとかつなぎ止めていた。
サザエ「ちょうどいいところに帰って来てくれたと思ったのに、勘違いだったみたいね」 何がちょうどいいのかはわからないけど、姉さんの手に握られた包丁をみるかぎり
僕にとってはちょうど良くないことに違いない。
おまけに反対側の手にはあのタラちゃんの縫いぐるみが抱かれていた。
サザエ「ごめんね、タラちゃんもう少し我慢してね」
姉さんはまた縫いぐるみに話し掛け、本当の我が子にするように笑いかけた。 不思議なのは昨日綿を抜かれてぺしゃんこになっていたはずのそれが、いまは妙に膨らんで見えたことだ。
サザエ「昨日のタラちゃんはタラちゃんじゃなかったのよ。だって母さんもそう言ってたしね・・・中身があんなに軽くてふわふわしていたもの。もう一度ママの体に戻そうと思っていたけど、もっと簡単に出来るって気がついたのよ・・・タラちゃんの体を取り返せばいいんじゃない。」 姉さんのぶつぶつと呟く声が耳に届く。
言っている内容はめちゃくちゃなのだが、今の姉さんに見つかることは非常に危険だということは分かった。
無惨なワカメの姿を見ても、可哀相だとか酷いだとかの感情が浮かぶのではなく、ただ恐怖だけが僕を捕らえている。
サザエ「きっとワカメがタラちゃんをこんな目に合わせたのよ、体を奪って綿と詰め換えていたのよ」 だからワカメから取り返したのだろう。
ワカメの体から肉を削り取り、縫いぐるみに詰めていたようだ。
縫いぐるみから滴る血も全部ワカメのものだったのだ。
サザエ「でもワカメからばっかりじゃ可哀相よね、カツオだって悪いんだもの」
僕の名前があの声で呼ばれたとき、思わず体が強張った。
どこかで音を立ててしまっていないか、速まった心拍と同じリズムで手の傷がドクドクと脈打った。 サザエ「タラちゃんが酷い目に合わされているってのに黙って見てるだけなんて」
サザエ「ワカメはこれで許して上げる、体が軽くなりすぎちゃったでしょう」
サザエ「台所にお肉を用意しておいたから足りない部分に足すといいわよ」
姉さんは動かないワカメを揺さぶりながらそんなことを言っていた。
ワカメはきっともう死んでいるはずだ、あの状態ならば生きている方が悲惨なようなのだ。 口の端を微かに歪めて笑う姉さんだけが楽しそうにみえる。
姉さんは虚ろな視線をフラフラと漂わせて、ある一点で止めた。
サザエ「あら、やっぱりカツオ、帰って来ていたのね」
僕は一瞬見つかったのかと思った。
だけどそれは単なるはやとちりで、姉さんが見つめていたのは僕の机の上だった。
サザエ「さっきは中身が散らばっていたのに……きれいにしまわれてる」 いつ見たのだろう、僕が一度目に帰宅してから次に戻ってくるまでの間に違いないだろうが、
その時にはワカメはどうしていたのだろうか、すでに姉さんに肉を削がれた後だったのだろうか。
それを考えると胸が裂けそうな思いで苦しかったが、妹の悲惨な最期を哀れむ余裕など今の僕にはないのだ。
サザエ「まだ家のどこかにいるのかしら、ちょっと探してくるからここにいてねタラちゃん」
べしゃりと音を立ててワカメだったものの上に、肉の詰まった縫いぐるみが置かれた。
もしも姉さんに見つかってしまえばあれらの仲間入りだ。
それは絶対に避けなければいけない。 ワカメを切った時に刃毀れしたのであろう包丁は、傾き掛けた太陽の光で凸凹とした刃先を浮かび上がらせている。
それを手にした姉さんがくるりと後ろを振り向きこの部屋からでていくそぶりをした瞬間、僕は安堵のため息を漏らした。
それが、いけなかった。
これが走馬灯というものなのか、様々な光景が頭に浮かんで消える。
こんなときだからなのか、みんなの笑顔や楽しかった思い出ばかりが出てくる。 そういえば母さんは町内の婦人会で今日は遅いって言っていたな、とか
中嶋たちは僕が行かなくても野球をしているんだろうな、とか
今の僕には遠い世界の話のような言葉が浮かび、目の前の暗闇が裂けた。
サザエ「タラちゃん、今できるからね」
その声の聞こえた後、赤黒く染まった刃先が僕を―・・・ この二次創作は2009年頃に投稿されたもので、私が創作したものではございません。
にしても、こんなサザエさんの世界観を残しつつ本当に現実のような生々しさを分で表わした当時の投稿者は何者だったのか気になる・・・ 前に途中まで読んだんだけど、ほぼ最後のシーンの直前まで読んでた >>85
映像は無いですが、当スレで他の民が描いて投稿したイラストならあります・・・自分がこの二次創作を最初に知ったのが良くか悪くか当スレだったので、まじの方でチビった記憶があります・・・
https://i.imgur.com/BupoOC2.jpg
https://i.imgur.com/VM0LjvF.jpg >>86
1枚目は見たことある気がするけどこの話しだったのか おもろかった
もっと続きあるかと思ったらすぐおわった サザエさんの世界観は皆無じゃねーか
キャラの名前だけ借りてるだけで >>82
別に凄くもなんとも無くね?
クレしんがミサエの妄想とか、その辺いくらでもある話なんだけど ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています