「終わったよエルメス」

小屋から出てきた人間はモトラド<注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す>に話しかける。
エルメスと呼ばれたモトラドは問いかける。

「どうだった?キノ」

「うん、たぶん入国できると思う。歓迎してくれるみたいだ」

キノと呼ばれた人間は軽く微笑む。歳は十代後半ほど。

「歓迎してくれるのに入国審査はしっかりするんだね」

「変な人間を国に入れる訳にはいかないからね。それに、警備が厳重な国は色々良いことが多い」

「良いことって?」

エルメスが聞く

「料理がおいしい」