人気アニメ「らき☆すた」に登場する主要キャラクターの一人・柊つかさの像が、12月18日に埼玉県久喜市の鷲宮郵便局にお披露目されました。
「らき☆すた」は2007年に深夜枠で放送されたテレビアニメ。近年では3ヵ月ごとに50本、年間にすると200本前後の新規のテレビアニメが放送され続ける中で、
作品と縁のある地元の「らき☆すた」への愛着は変わりなく、15年も「町おこし」が続いています。

この柊つかさというキャラクターは、アニメに登場する神社に住む双子の姉妹の一人ですが、実は“一番の人気キャラ”というわけではありません。
双子のもう一人・柊かがみというキャラクターの方が人気があり、実際にかがみの着ぐるみは、鷲宮地区のプロモーションに活用するため2014年に製作され、同地で活動しています。
ところが、妹のつかさの着ぐるみは、作られてなかったのです(双子なのに)。
予算的な制約もあっての判断だったようですが、この「つかさは“不遇”」という空気感がファンの間でできあがっており、商工会はこれをうまく逆手にとっていきます。
2022年7月には、「つかさプロジェクト」と題して、つかさの着ぐるみを製作する費用を捻出するクラウドファンディングを実施。
支援金として1人3万円、80口(総額240万円)を募ったところ、これが1日で目標金額に到達する“売り切れ”状態になりました。
双子二人の着ぐるみがそろってイベントに出てほしいという、支援するための「理由」がファン心理に刺さったのです。
そしてこれとは別に、観光協会が主体となってつかさ像を製作する動きも2021年から進められていました。これが、今回のつかさ像です。

こうした背景で誕生した像ですが、そのお披露目となった12月18日のイベントからも、盛り上がりの理由が見えてきます。
当日は、久喜市くき親善大使でもあり、柊つかさ役の声優・福原香織さんが出席。
当日は体調の問題で声が出せない状況にもかかわらず、本人の希望もあって出席し、筆談でコメントを発表しました。
また、お披露目イベントで乾杯の音頭は原作者の美水かがみさんが担当していましたが、これも実は、お披露目の式の直前に関係者がお願いをして、それを美水さんが快諾したものだといいます。
また、お披露目会の乾杯時に酢を使うことに対して不思議に思うファンもいたようですが、これは作品で登場した「バルサミコ酢」にひっかけたもの。
その意図に気づいたファンからは芸の細かさに笑ってしまったという声も上がっています(このバルサミコ酢を出席していた梅田修一市長が乾杯時に飲んでむせる……という場面もありました)。
ちなみに、全国の郵便局の敷地内にアニメキャラの像が立つのは「初めて」とのこと。
当初は像製作の予算から130センチの像だったはずが、つかさの等身大(158センチ)にする案が浮上し、最終的に予算オーバーながら「等身大案」が採用されています。
無理をするところは無理をしてでも、ファンが喜ぶツボを押さえる……という計らいもあったのです。


“一番の人気キャラではない158cmの像”が埼玉で完成…なぜ今も「15年前の深夜アニメ」で“日本初”の町おこしが生まれているのか?
https://bunshun.jp/mwimgs/4/b/1200wm/img_4bb5617b9a090dbf77672396a0dc28413617892.jpg
https://bunshun.jp/articles/-/59750