人気アニメ「らき☆すた」に登場する主要キャラクターの一人・柊つかさの像が、12月18日に埼玉県久喜市の鷲宮郵便局にお披露目されました。

【画像】柊つかさ役の声優・福原香織さんとつかさ像

「らき☆すた」は2007年に深夜枠で放送されたテレビアニメ。近年では3ヵ月ごとに50本、年間にすると200本前後の新規のテレビアニメが放送され続ける中で、作品と縁のある地元の「らき☆すた」への愛着は変わりなく、15年も「町おこし」が続いています。

放送から15年…「涼宮ハルヒ」直後に一世を風靡した「らき☆すた」
「らき☆すた」は、個性的な女の子たちの何気ない日常を描いた美水かがみさんの4コママンガが原作です。「涼宮ハルヒの憂鬱」が大ヒットした直後に同じ京都アニメーションが制作し、ほのぼのしたテイストやコミカルな内容で大ヒットを記録しました。オープニング曲「もってけ!セーラーふく」もダンスとともに人気を博し、オリコンチャートでも週間チャートで初登場2位を記録しています。

 そんなオープニングシーンに、由緒ある鷲宮神社(久喜市鷲宮地区)をモデルにした場面が描かれ、今回像になったつかさを初めとする主要キャラクターたちも神社を舞台に登場していたことから、ファンたちが同地を訪れる“聖地巡礼”が始まり、同社の正月三が日の参拝客は数倍になりました。

 この参拝客の増大は、きっかけこそ「アニメのヒット」にあるのは確かですが、地元の情熱があってこそ。ポイントは、企画力の高さです。

“「らき☆すた」頼み”にならない企画力
 オリジナルグッズを販売したり、「らき☆すた」の絵をあしらった神輿をかついだり、はたまたは作品に参加した平野綾さんら人気声優を招いたこともありました。

 一方で“「らき☆すた」頼み”に陥ることなく、さまざまなアニメのせりふを叫ぶ「オタク運動会」、アニメ好きの男女の出会いの場を設ける「オタ婚活」、コスプレをしたまま走る「コスプレマラソン」など、同地を訪れる人たちの嗜好を読み取ったユニークなイベントや企画を展開していったのです。

 あまりの拡大ぶりに他の自治体からも視察に訪れるようになり、2013年には企画の主体を担った鷲宮商工会(現・久喜市商工会鷲宮支所)が、地域で優れた事業を展開した商工会などに与えられる「21世紀商工会グランプリ」に選出されました。

 今やアニメの舞台になった“聖地巡礼”は、多くの場所が紹介されるようになりました。しかし、地元側が能動的かつ持続的に企画を立案しているかというとそうとは言えないのが実情です。

 理由は、アニメの放送時がファンのピークになり、その時点では注目を集めるものの、アニメの放送が終われば勢いは衰えます。ファンの注目は次の作品に移るわけですが、普通の自治体や地域は“客離れ”に対して打つ手がなくなってしまうことです。

 克服するためには、アニメの放送後の「地元の動き」がカギになります。しかしこれが大変。

 作品を理解した上で、作品を知らない地元の人たちと折衝を行って理解を求め、ユニークな企画を立案する能力のある人が地元にいるのか。そのメンバーを支えるファンがいるのか。お金を動かせる地元の支援があるのか。そんなキーマンたちと十分なコミュニケーションがとれるのか……。アニメに興味がなく、知見のない自治体にすれば、なかなかハードルが高い事態なのです。