競技中の選手を性的な目線で隠し撮りする「アスリート盗撮」。被害は高校生らにも及んでおり、関係機関が対策を進めている。

たけびしスタジアム京都(京都市右京区)で10月にあった高校生の陸上競技大会。
コロナ禍が一段落したこともあって、観客席では保護者や一般客らが選手らを見守っていた。

午後にあった女子400メートルハードル。セパレート型のユニホームを着た選手たちはクラウチングスタートのため腰を上げ、前かがみに。
緊張が高まるその瞬間、観客席でパシャパシャという音が響いた。

中年男性がスマートフォンで撮影する音だった。選手らがハードルを跳び越える際にも撮影音が響いた。

「撮ってはりますか?」

男性にそう声をかけたのは、私服警察官。選手を性的な目的で撮影しようとする人たち、いわゆる「アスリート盗撮」に目を光らせていた。

男性は「撮影の許可証が必要とは知らなかった」と謝罪。警察官が確認すると、男性が撮っていたのはトラック全体で、女性の特定部位の画像はなかった。

枚数も少なく「疑いなし」と判断された。

アスリート盗撮は近年、各地で問題となっている。2020年1月には京都府迷惑防止条例が改正され、
着衣の上から胸や尻などを執拗に撮る行為が「ひわいな言動」として規制対象に。警察が取り締まりを強化している。

昨年8月には、同スタジアム場外から陸上選手の女子高校生のユニホーム姿の下半身を大量に撮ったとして、
府警が男を同条例違反(ひわいな言動)の疑いで書類送検。男は「尻に興味があった」と容疑を認め、罰金30万円の処分を受けた。

府高校体育連盟の担当者は、少なくとも10年前から盗撮被害があったと話す。幅跳びの選手が尻についた砂を払う瞬間や、
指導者からアドバイスを受ける選手の胸元など、競技に無関係の場面が狙われることもあったという。

大会の主催者側も対策を講じている。撮影する関係者には腕章などを配り、会場では「警察官が巡回しています。許可がない人は撮影ができません」とアナウンス。
クラウチングスタートで選手の下半身が盗撮されやすい一部エリアは撮影禁止にした。

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