※11/2(水) 6:12配信
文春オンライン

「貧困家庭に生まれ育った自分が『大学に進学したい』と思うのはいけないことなのでしょうか。奨学金を借りて大学に通っていますが、親が使い込んでしまって結局はアルバイトで生計を立てています。

 先月、体を壊してしまって働けなくなり、生活保護の相談に行ったところ、窓口で『まず大学を辞めてもらわないと……』と門前払いされてしまいました。自分を虐待してきた親から、ましてや奨学金に手を付けるような親から援助を受けられるはずがないのに、なぜ大学を志したからといって、生活保護を受けることができないのでしょうか。私は大学を諦めるしかないのでしょうか」

 以前、大学生の女性からこうした相談を受けたことがある。この女性がどうして私に相談をくれたかというと、私自身が過去に彼女とよく似た境遇にあったことを、著書『 年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声- 』やコラムなどで綴っていたためである。

 彼女には、教育を受けることは憲法が定めるところの「健康で文化的な最低限度の生活」に含まれるであろうこと、そして門前払いをした窓口の担当者の対応は間違っており違法であること、虐待を受けていた事実や体を壊してアルバイトで生活費や学費を稼げない現状などが考慮されれば、生活保護を受給できる可能性があることを伝えたものの、結局それ以降、彼女からの連絡は一切途絶えてしまった。