来年3月に京都移転の文化庁、シミュレーションでは「東京出張が頻発」

 来年3月27日に予定される文化庁の京都移転まで半年を切った。関西の振興につながるとの期待が高まる一方で、職員を京都に移して実施したシミュレーションでは、国会対応などで東京に戻らざるを得ないケースが頻発するという結果が出ており、リモートで業務できる体制の整備が課題になっている。

 文化庁が20年10月5日~11月20日に、移転予定課の全職員に交代で試験的に京都で勤務(34勤務日)させたところ、オンライン会議などリモートで対応できたのは、「国会議員への説明」が41回中5回(12・2%)、「政党の会議への参加」が25回中5回(20%)、他省庁との折衝など「予算に関する業務」が61回中9回(14・8%)だった。残りは、重要案件で丁寧な説明が必要だったり、取り扱いに注意がいる情報を扱ったりしたため、東京に出張するなどして対面で対応したという。

 次長の京都での勤務日数は34日中16日、審議官は6日だった。法案作成に関わった課長2人は機密性の高い作業でもあり、全期間、東京で勤務したという。

 リモートの対応では、機材やスペースの不足、設定や操作についての習熟度の差が課題として挙がった。国会議員への説明や政党の会議では、東京にいる文化庁職員が24インチのモニターやタブレット端末を会場に持ち込むこともあったという。