「おや。」と、山上はびっくりして晋三に目を落としました。
「晋三、お前だったのか。いつもくりをくれたのは。」
 晋三は、ぐったりと目をつぶったまま、うなづきました。
 山上は、アベガンをばたりと取り落としました。青いけむりが、まだつつ口から細く出ていました。(おわり)