桃(DV彼氏)「シャミ子が悪いんだよ…!」ボッゴォ!!
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
シャミ子「ぶっふぇえええええっ!?」
桃「なんべん同じ事を言わせれば気が済むのかな…?かな…?」
シャミ子「ごごごご…ごべんなざいでぢた!私が悪かったです!」
桃「ふぅん…じゃあ、自分のどのへんが悪かったか説明してみようか」
シャミ子「ふえっ!?え…ええっと…それはぁ……」シドロモドロ
桃「……なに、その反応?」
桃「ひょっとして、この場を収める為だけに、取り合えずで自分が悪いって答えたの?」
シャミ子「そ、そんな事はっ!」ギクリ
桃「やれやれ…とんだ浅ましまぞくだねシャミ子は」
シャミ子「ちちち…違いますっ!」 シャミ子「あああ…あのっ、こうやってすぐ桃の機嫌を損ねてしまう所が、私の最も改めるべき点だと思いますっ!」
桃「…………」
シャミ子(こ、これはどういう沈黙だろう?まさか答えを間違えてしまったのだろうか……?)
桃「……なに、それ」ボソッ
シャミ子(ひいっ!?やっぱりでした!)
桃「私の機嫌が、って…どうしてそうなるのかな……」
桃「ひょっとしてシャミ子は、私の虫の居所が悪いからシャミ子に手を挙げてると思っているの…?」
シャミ子「え、そうじゃなかったんですか?(素)」
桃「…………キミには失望したよおおおおおおっ!!」クワッ
シャミ子「ひいいいっ!?なんでそんな洋画の黒幕みたいな感じなんですかっ!?」 〜翌日 学校〜
シャミ子「ううっ…昨日の痣がズキズキする…」
杏里「おーっすシャミ子ぉ!背筋曲がってんぞ♪」バッシーン!!
シャミ子「うげぇ!?」ズッキーン!!
杏里「ありゃ、ごめん。強かった?」
シャミ子「い、いえ…おはようございます、杏里ちゃん」プルプル
杏里「なーんかシャミ子、このごろ元気なくない?大丈夫?」
シャミ子「そ、そうですかね?はは…」
杏里「おおかた、ちよももの鬼の特訓に付き合わされてるとか?最近キミらずっと一緒にいるもんね」
シャミ子「そう、ですね…」 杏里「こんな風に言っちゃダメなんだろうけど、あたしも寂しいんだぜー?この頃シャミ子、付き合い悪いもん」
シャミ子「ご、ごめんなさい…」
杏里「休み時間も放課後もすぐ、ちよももと二人でどっか行っちゃうしさー」
シャミ子「ごめん、なさい……!」ポロポロ
杏里「あわわわ!?うそうそ!そんなマジで謝るなよぉ!」
シャミ子「ううっ…ひっく…ごべん、なざい…」シクシク
杏里「ありゃー……」 杏里「どったんシャミ子?やっぱり元気ない…いや、それどころのレベルじゃないよね」
杏里「ウチでよければ、話きくけど」
シャミ子「杏里ちゃん…///」
杏里「遠慮すんなよー♪ウチら親友同士じゃん!」
シャミ子「た──」
杏里「た?」
シャミ子(『タ ス ケ テ !』)
杏里「うーん?」
杏里「……そだ!今日の放課後、久しぶりに二人でどっか遊びに行かない?」
シャミ子「!」
杏里「ずっと特訓づめじゃ却って続かないし、気分転換ってことで♪」
シャミ子「ぜ、ぜひ──」
桃「シャミ子」
シャミ子「ひっ!」 杏里「おっはー、ちよもも」
桃「うん」
シャミ子「……」ガタガタ
桃「杏里、悪いけどシャミ子に話あるから連れてくね」グイッ
シャミ子「あ、あぅ…」プルプル
杏里「いやさ、今ちょうどその話してたんだけど」
杏里「最近ちよもも、ずっとシャミ子のこと独り占めしてるじゃん」
杏里「今日くらい一緒に遊ぼーと思って。シャミ子はみんなのだぞー!」
桃「え、そうなの?シャミ子」
シャミ子「っ!」ビクッ
桃「シャミ子が、遊びに行きたいって、言ったの?」ギロッ
シャミ子「コヒュー…コヒュー…あああ、あの……」 杏里「ウチが誘ったんだってば」
桃「あ、そうなんだ」
シャミ子(ほっ…)
桃「で、シャミ子はどうしたいの?」
シャミ子「ふえっ!?」
桃「いいよ? ″シャミ子が自分で決めて″も」
シャミ子「あぅ…そ、その……」パクパク
杏里「行こうぜシャミ子ー!華の放課後JKライフが待ってるぜー!」
シャミ子「……ごめんなさい杏里ちゃん。今日のところは、桃と行きます」
桃「…ふん」
杏里「えー?そうなん?」
シャミ子「また、誘ってください…」シュン 桃「ごめんね杏里。シャミ子と私は、光と闇系の大事な用事があるんだよ」
杏里「ちぇー、それを言われちゃ、一般ぴーぽーのウチとしては大人しく引っ込むしかないじゃん。ずっこいぞー!」
桃「はいはい。負けヒロインは潔く退場してくださーい」
杏里「誰が負けヒロインかー!シャミ子、ちよももフラグが折れたらいつでもウチのとこ来いよー!」
杏里「杏里ちゃんフラグはいつでもビンビンにおっ立ってるぞー!」
シャミ子「あはは…女の子があんまりおっ立つとか言っちゃいけません…」
杏里「んじゃ、まったねー♪」
桃「……」
シャミ子「……」カタカタ 桃「杏里ってさ、コミュ力高いよね」ボソ
シャミ子「え…?そ、そうですね…」
桃「おちゃらけてるように見えて、しっかり気遣いも出来るし」
シャミ子「はい。とっても素敵なお友達です…///」
桃「──本当はああいう子がいいんだ」
シャミ子「えっ」
桃「シャミ子、私と居る時はあんな楽しそうな顔しないよね」
シャミ子「そ、そんなことは…」
桃「確かに私、コミュ症だし、あんまり気が利く方でもないもんね。仕方ないか」
シャミ子「そ、そんな事ありませんってば!」
シャミ子(以前の桃に戻ってくれたら、私は──) 桃「いいよ?今からでも杏里のところに行っても」
シャミ子「えっ」
桃「いつも言ってるよね? ″シャミ子がそうしたいなら、否定はしない。シャミ子の意思は尊重する″って」
シャミ子「いえ、そんな…」
桃「もう一度聞くよ?シャミ子は、私と杏里、どっちと一緒に居たいの?」
シャミ子「………」
シャミ子「わ…私は、桃と…桃と、一緒に居たい、です……」
桃「それ、自分の意思で言ってるんだよね?私に言わされてるんじゃあないよね?」
シャミ子「も、もちろんです!心から桃と一緒に過ごしたいと思っています。杏里ちゃんはあくまでお友達ですから!」
桃「くす。そうだね。私を選んでくれて嬉しいよ」
シャミ子(やれやれ、なんとか今日のところは桃のご機嫌を取ることが出来そうです…) 桃「じゃあ、言って?」
シャミ子「ほへ?」
桃「いつものあれ、早く言って」
シャミ子「はっ!」
シャミ子『も、桃はとても理解のある彼くんで、いつも私の事を第一に考えてくれています』
シャミ子『時々手を挙げる事はあっても、それは真に私の為を思ってくれているが故の行為であり、愛の鞭なのです』
シャミ子『むしろ、私をぶたねばならない桃の心の方がよっぽど痛いはずです』
シャミ子『にもかかわらず、何度言っても直らないダメ人間、もといダメまぞくの私を矯正する為、桃は心を鬼にしてくれているのです』
シャミ子『私ったらバカ馬鹿おばか!悪いのは全部シャミ子です!』
シャミ子『こんな私を愛してくださってありがとう桃。せめてものお礼に、この肉体と魂は、すべてあなたに捧げます!』
桃「うんうん。ようやく噛まずに、カンペなしで言えるようになったね」パチパチ
シャミ子「あ、ありがとうございます…」 桃「だけど、困ったね」くんくん
シャミ子「ど、どうしたんですか?」
シャミ子「ちょっとワケあっていっぱい冷や汗をかいたので、あまり嗅がれるのは恥ずかしいのですが…」
桃「シャミ子が尻軽まぞくだから、すっかり他の女のにおいがうつっちゃった」
シャミ子「えっ…」
桃「これはもう、熱いシャワーで洗い流さないと落ちないよ」
シャミ子「ひっ!?い、嫌です!熱湯シャワーはもう嫌ですっ!」
桃「嫌…?」ピク
桃「今、嫌だって言ったの!?ねえっ!?いつから私の提案を否定できるほど偉くなったのかなシャミ子はっ!!」ギャオオオン
シャミ子「ひいいいっ!?ご、ごべんなざいっ!ぜんぜん嫌じゃありません!!」 桃「まったく。何を勘違いしているのかな」
桃「今日のシャミ子はとっても従順で素直だったから、ご主人様が綺麗にしてあげるって言ってるの。おしおきの熱湯シャワーとは違うよ」
シャミ子「そ、そうでしたか…」ホッ
桃「じゃあ、私の家に行こうか。あ、千代田家の方ね?」
桃「ばんだ荘であまり大きな声を出すと、ご近所迷惑になっちゃうからさ」
シャミ子「あの、嫌な予感しかしないのですが…」 〜千代田家 浴室〜
桃「お湯の温度をMAXにして、と…」カチャカチャ
シャミ子「あ、あの桃…出来れば程よい湯加減で…」
桃「喋らないで。口の中まで火傷するよっ!」
シャァァァァ…!!
シャミ子「あづっ!?あっづう゛う゛う゛う゛う゛っっっ!!?」ジタバタ
シャミ子「やっぱりおしおき熱湯シャワーと一緒じゃないですかあああああっ!!」
桃「これくらい熱くないと泥棒猫の雌ホルモン臭は消えないんだよ。分かったら二度と浮気なんてしない事だね」
シャミ子「頭皮がっ!頭皮がただれるっ!!ただれて剥がれ落ちるっ!!!」
桃「例え〜 君が〜 頭部〜 剥がれ〜ても 構わずお湯かけ・る・よ♪」 〜数時間後 ばんだ荘〜
シャミ子「はぁ…やっと帰ってこられた…」
シャミ子「うぅ…打撲痕と火傷のダブルパンチで身体じゅうヒリヒリズキズキ大騒ぎです…」ガチャ
良子「お帰り、お姉♪」
シャミ子「ただいまです。良…」
良子「たいへん!お姉、また火傷してる!すぐ薬箱持ってくるからね!」
シャミ子「な、なんのこれしき。次なる配下に加えようと交戦中の炎のまぞくが少々手強くてな!」
シャミ子「でも心配いりません。あともう一押しでこちらの勝利です!はーっはっはーっ!」
良子「お姉、頑張ってる…!」キラキラ
シャミ子(どんなに辛くても、家に帰れば良とおかーさんが温かく迎えてくれる。この場所だけは何があっても守ってみせます…!) 〜翌日 ばんだ荘〜
ピンポーン
良子「はーい。あれ、桃さん?」ガチャ
桃「よかった、良ちゃん帰ってて。もう学校は終わったんだ?」
良子「うん。今日は4時間目までだから…桃さんの方こそ、まだ授業時間じゃないの?」
桃「そうなんだけど…サボっちゃった。どうしても良ちゃんに会いたくて」
良子「えっ///」
桃「上がらせて貰っていいかな?」
良子「ど、どうぞ…/// 狭いところですが、なんて…///」 桃「えっと、今日は清子さんは?」キョロキョロ
良子「おかーさん、今日は用事で少し遅くなるって」
桃「それは好都合…」ボソ
良子「なぁに?よく聞こえなかった」
桃「う、ううん何でもない。でも、小学生が一人でお留守番だなんて、ちょっと心配しちゃうな」
桃「私がずっと一緒に居てあげるからね…」ニチャァ
良子「ありがとう。でも、お姉が帰ってくるまでで大丈夫。お留守番は慣れっこだから」
桃「そっか。良ちゃんはしっかり者だからね」
良子「そ、そんな事ないけど…///」テレッ 桃「身体つきも、同学年の子に比べたら大人びてるって言われない?」
良子「えっ」
良子「ど、どうだろう…?良、そういうのまだよく分からない…」
桃「そっか。でも、清子さんもシャミ子もなかなかご立派なものをお持ちだから。良ちゃんもいずれ、ね?」
良子「そうなのかな」
桃「そうだよ。現にこの頃の良ちゃん、どんどんシャミ子に似てきてるから、見てるとドキドキしちゃうんだ」
良子「からかわないで、桃さん/// でも、尊敬するお姉みたいになれるなら、良は嬉しい…」
桃「そんな良ちゃんに、お願いがあるんだなぁ〜」ニッチャァ…
良子「桃さん…?」 〜数時間後 ばんだ荘前〜
シャミ子「桃、早退だなんて珍しい…」
シャミ子「でも、そのおかげで久々に杏里ちゃん達と楽しく過ごせました♪」
シャミ子「って、こんな風に言っちゃいけませんよね。桃だって、あれで一応私の為を思って……おや、良?」
良子「お、お姉…」
シャミ子「どうしたんです?扉の前でうずくまって」
シャミ子「ひょっとして鍵を落としてしまいましたか?可哀そうに、心細かったでしょう…?」
良子「お姉…桃さんが…桃さんが……!」ポロポロ
シャミ子「!?」
シャミ子「も、桃になにかされたんですかっ!?」 〜吉田家 室内〜
桃「はぁ…はぁ…/// 最高の仕上がりだよ良ちゃぁぁぁん……///」フガフガ
シャミ子「うっおりやああああああああああっっっ!!」バッターン!!←ドア
桃「シャ、シャミ子!?」
シャミ子「きっさまぁーっ!良に…大切な妹によくもおおおおおおっ!!」
シャミ子『良、いったい何が…?』
良子『ぐすん…お昼ごろ、桃さんが訪ねてきて…』
良子『まず、良に″ちょっぴりせくしぃ″なポーズを取って、カメラで自撮りしろって…』
シャミ子『な、なんて事を…!』ワナワナ
良子『で、その写真に編集ソフトでお姉の顔写真を自然な感じで合成して欲しいって…』
シャミ子『へ?』
良子『どうしてもお願いします、って…畳でおでこから出血するくらいの土下座でお願いされて……』
良子『土下座してるのに圧がすごくて…逆に怖くて…うっ、うわあああああああああん!!』
シャミ子『……あの魔法少女めえええ!』
シャミ子『小学生の妹になんて事をさせてるんですかっ!許さああああああああん!!』 シャミ子「私には何をしたっていい!だが妹を、良子を傷つけた事は絶対に許せません!」
桃「い、いいのシャミ子…?私にそんな態度とっても。またお仕置きされたいのかな…?」
シャミ子「お仕置きするのはこっちじゃーい!!」ポコッ
桃「ぶへっ」
シャミ子「わかっています!私の拳なんて、あなたには痛くも痒くもない!それでも!殴らずにはいられないっ!!」ポコポコ
桃「お、落ち着いてシャミ子…や、やめて…叩かないで……」
シャミ子「良がそういえば貴様はやめたのかー!?絶対に許さないっ…!!」ポコポコ シャミ子「もんもォォオオ───ッ!アナタがッ!泣くまで!殴るのをやめませんッ!!」ポコポコポコ
桃「ひっ!?」
シャミ子「うりゃりゃりゃりゃ───っ!!!」ポコポコポコ
良子「お、お姉…もうやめて…!」
シャミ子「止めないでください良!いいんです!このクサレ外道にはこれくらいの……」
良子「でも、桃さんもう泣いてるから…」
シャミ子「へ?」ピタ
シャミ子「は、早くないですか?なんだか拍子抜けです…」
桃「ひっ…!ひいっ…ひっく……!うぐっ…やめて…もう、叩かないでぇ……」ガクブル
シャミ子「桃?」
桃「やめて…!いい子にするからもうぶたないで! ″桜お姉ちゃん″っっっ!!」
シャミ子「!?」 シャミ子「どうして桜さんの名前を…?それに ″ぶたないで″って……」
シャミ子「まさか……!」
小倉「気になるよね〜」ヌルリ←天井
シャミ子「うわっ!?小倉さん!?」
小倉「ここ数日、千代田さんをずっと観察していたんだけど、彼女も何やら深〜い闇を抱えているみたいだねぇ〜」
シャミ子「ずっと見ていたなら良は助けてあげて欲しかった…」 シャミ子「まぁそれはそれとして、桃の抱えた闇というのは…」
桃「ひっ…ひいっ…いやっ……もう物置は嫌だっ……!」プルプル
小倉「う〜ん。シャミ子ちゃんもなんとなく察しはついてるんじゃないかなぁ〜♪」
シャミ子「で、ですが…そんな事って……」
小倉「確かめてみたい〜?」ニヤリ
シャミ子「た、確かめるって…まさか、私の力を使うんですか?」
シャミ子「あいにく今日は色々ありすぎて目がさえていて、とても眠れそうにないのですが…」 小倉「う〜ん。多分だけど、シャミ子ちゃんの能力でも難しいんじゃないかな〜?」
小倉「ここまで取乱すって事は、千代田さん自身、この記憶には誰にも触れられないよう厳重に鍵をかけているだろうし〜」
シャミ子「小倉さんの黒魔術なら、それを突破するのが可能ということですか?」
小倉「魔術ではないけど〜。逆行催眠、って聞いたことある〜?」
シャミ子「な、なんとなくは…」
小倉「簡単に言うと、過去の記憶を呼び覚ましたりトラウマを解消したりする催眠術だね〜」
シャミ子「過去…トラウマ……」
小倉「ちなみに私も齧ったことあるんだけど、どうする〜?」
シャミ子「ど、どうするとは…」
小倉「知りたくない?千代田さんの過去♪」
シャミ子「で、でも…むやみに人の過去を詮索するなんて悪趣味ですし」
シャミ子「そりゃあ、昔のことや色々なこと、知りたいですけど…」
シャミ子「極力は、桃自身が私に伝えてもいいと思ってくれるまで待ってあげたいんです」 小倉「そっかぁ、残念。でも、大丈夫かなぁ〜?」
シャミ子「…どういう意味でしょう?」
小倉「だって、シャミ子ちゃんの中には桜さんのコアが眠っているんだよね〜?」
小倉「ひょっとして、千代田さんは心の中では姉の桜さんを恐れ、憎んでいたのかも」
シャミ子「そんな事って…」
小倉「でも、千代田さんのDVが始まったのって、確か桜さんがシャミ子ちゃんの中にいるって分かってすぐだったよね〜?」
シャミ子「い、言われてみれば…!」 小倉「いいのかな〜?真実を知らないままで。この問題は相当根が深そうだよ?」
小倉「きちんと事態を把握して接しないと、彼女の心の傷をさらに広げてしまうかも〜」
シャミ子「だ、ダメですそんなの!桃が可哀想!」
小倉「だったら…ね?試してみようよ、逆行催眠」
桃「ひっく…やめて…!コンロであぶった菜箸(ステンレス)だけはやめてぇ…!」プルプル
小倉「今の千代田さん、精神的にかなり無防備みたいだから、きっとあっさり催眠にかかると思うよ〜」
シャミ子「わ、分かりました。小倉さん、お願いします…!」
小倉「そうこなくっちゃ〜♪」 小倉「えー、おほん。それでは始めま〜す」
シャミ子「ごくり…」
桃「う…ううぅ…」
小倉「千代田さぁ〜ん、今から千代田さんには、ちょ〜っとした時間旅行をしてもらいまぁ〜す♪」
桃「じかん…りょこう……?」
小倉「そーそー。千代田さんは魔法少女でしょう?」
小倉「魔法少女がいるんだから、時間旅行が出来てもな〜んにも不思議はないよね〜?」
桃「そう、かもね…」
小倉「それじゃあ今回、千代田さんには十年前の自分に会いに行ってもらっちゃいま〜す♪」
桃「十年…前……?」 小倉「うん。十年前だよ〜?どんな子供時代だったか覚えているかな〜?」
桃「十年前……い、嫌だ…!あの頃にはもう…戻りたくない…!」フルフル
小倉「だいじょ〜ぶ、だいじょ〜ぶ。時間旅行は古い映像記録を見ているのと一緒だから」
小倉「どんなに辛いこと、怖いことが起きても、それらは今の千代田さんには何の手出しもできないんだよ〜。安心して〜」
桃「よ、よかった…」
小倉「それじゃあ早速過去へと旅立ってもらうよ〜」
小倉「あ、緊張しちゃダ〜メ。ゆっくり、身体の力を抜いて、深く、ふか〜く、深呼吸して…」
桃「すー…はー…」
小倉「疲れ切って眠りにつく時のように、すーっと、心地よく、意識の底に堕ちていくよぉ〜♪」
シャミ子(小倉さんの囁き、どうしてちょっとえっちぃ感じがするんでしょう…///)ドキドキ 小倉「″桃ちゃん″… ″桃ちゃ〜ん″……」
桃「う〜ん…?」
小倉「目が覚めた、桃ちゃん?」
桃「おねーさんは…?」
小倉「おねーさんは、桃ちゃんにお話を聞きに来たインタビュアーさんだよ〜。いくつか質問させてね〜」
桃「うん。いいよ…」
シャミ子(しゃべり方が幼い感じがする。本当に意識が十年前に戻ってるんだ…) 小倉「それじゃあまず、年齢を教えてね〜。桃ちゃんは今いくつかな〜?」
桃「五歳くらい、の、はずだけど……」
小倉「『くらい』とか『はず』って付くのは、ちょ〜っとユニークなお返事だねぇ〜」
桃「私… ″しせつ″の子供だから。本当の歳、わからないんだ……」
シャミ子(そうでした。桃は自分のこと、捨て子だって言ってた…)
小倉「そう。桃ちゃんは今も、その ″しせつ″に居るのかな?」
桃「…ううん。今は桜お姉ちゃんに拾われて、一緒に住んでる。大きくて、綺麗なおうちに」
シャミ子(公民館の方のお家のことですね) 小倉「そっかぁ。それはよかったねぇ〜」
桃「……ちがう」
小倉「嬉しくないの?」
桃「はじめは、嬉しかった。もう ″しせつ″の子じゃない。私には、家族がいるんだって…」
桃「だけど、そうじゃなかった。あの人は、桜…お姉ちゃんは……!」ガタガタガタ
小倉「桃ちゃん、落ち着いて。質問を変えるから…」
桃「い…いやあああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
シャミ子「桃!?」 桃「あああああああああっ!!来ないでっ!!来ないでえええええええええええっ!!!」ジタバタ
桃「ごべんなざいっ!!ごべんなざい!ざぐらおねえぢゃんっ!!私、いい子になるがらっ!!」
シャミ子「や、やっぱり桃は悪い人じゃなかった!むしろ被害者!信じたくないけど…元凶はすべて桜さんでした!」
シャミ子「今はその確信が持てただけで十分です。だから小倉さん、はやく桃の催眠を解いてあげて!」
小倉「そんな、すぐには……」アタフタ
桃「ぶたないでっ!! 物置に閉じ込めないでっ!! ″しせつ″に戻さないでえええええっ!!!」コヒューコヒュー
シャミ子「桃っ!」ガバッ
桃「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛゛あ゛あ゛ッ!!う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!」ジタバタ
小倉「シャミ子ちゃん!?危ないよ!千代田さんから離れて!」
シャミ子「いいんです!私、桃にだったらいくら傷つけられたっていい!!」
小倉「シャミ子ちゃん…?」 シャミ子「ごめんね桃……」ギュ〜ッ
シャミ子「私、どうして桃は私をこんな辛い目に合わせるんだろうと思っていました……」
桃「あ゛あ゛あ゛あ゛゛あ゛…!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……ッ!」ポロポロ
シャミ子「でも、そんなの当然です。桃の味わった辛さは、きっと私の何十倍、何百倍……」
シャミ子「到底ひとりで抱えられるものじゃなかったはずです」
シャミ子「だから、それで桃の心が少しでも救われるのなら、その辛さを幾らでもぶつけてくれればいい…分けてくれればいい…」
シャミ子「その相手に私なんかを選んでくれたこと。それが、なにより嬉しいんです……!」
小倉「え、ええっと……」
小倉「まぁ、シャミ子ちゃんがそれでいいなら、別にいいんじゃないかな…?」 シャミ子「大丈夫ですよ、桃」
シャミ子「私の中の桜さんが桃に危害を加えたりしないよう、しっかり抑え込んでおきます」
シャミ子「だから、何も怖くなんてないですからね?」
桃「……ありがとう、シャミ子」
シャミ子「桃!意識が戻ったんですね!」
桃「今までごめんねシャミ子……私、きちんと治療受けるよ……」
シャミ子「もんもぉ〜///」 〜1ヶ月後〜
ミカン「あ、良ちゃんじゃない。おひさー♪」
良子「ミカンさん、なんだか久しぶりだね!」
ミカン「ええ。実家の工場が繁忙期に突入したから、助っ人でちょっと長めに里帰りしてたの」
ミカン「実はついさっき帰ってきたところなのよ。はい、これおみやげのミカンまんじゅう」
良子「ありがとう。実はこの後、お姉達やみんなで集まってパーティーをするの。ミカンさんも来てくれるよね?」
ミカン「あら素敵。もちろんお呼ばれするわ。それで、何のパーティーなのかしら?」
良子「う、うん。その事なんだけど…ちょっとトラブルがあって……」
ミカン「はぁ…やっぱり私がいない間に何かあったのね、シャミ子達」
ミカン「二人とも、何度連絡しても既読すら付かなかったもの」
良子「これ、良が勝手に言っていいのか分からないけど、でも、ミカンさんは知っておくべき事だと思うから、話すね?」
ミカン「え、ええ…」
良子「とはいえ、そんなに身構えなくて大丈夫。もう解決した事だから。あのね──」 〜いっぽう その頃〜
シャミ子(今日は桃が帰ってくる日…)ソワソワ
シャミ子(あの後、私達は桃の心の傷を癒すため、喫茶あすらを訪ねました)
シャミ子(桃は不満げだったけど、リコさんの料理なら…)
リコ『ええよー。桃はんのお役に立てるなんて光栄やわー』
リコ『でも、この心の傷は根が深そうやなー。さすがのウチの料理でも、一ケ月泊まり込みコースになるわ』
リコ『なんやの桃はん、ふてくされて。ええやないの、桃はんも女の子ってことや。ぷぷぷ。ないーぶですことー』
シャミ子(私も治療の付き添いを申し出たのに、桃はそれを頑なに拒否しました)
シャミ子(きっと、私に弱い部分を見せたくないんだろうな。桃ったら、意地っ張りなんだから…)
シャミ子(私は、そんな部分も全部ひっくるめて、桃のことが…///)
桃「シャミ子!迎えに来てくれたんだ」
シャミ子「も、もんもぉ///」ドッキーン 〜いっぽう ミカン&良子〜
ミカン「な、なんなのよ…その話……!」ワナワナ
良子「ショックだよね。ミカンさんも、小さいころ桜さんとは…」
ミカン「違うわ!一緒に幼少期を過ごした私が断言する!桜さんはそんな人じゃない!」
良子「で、でも…現に桃さんはあんなに……」
ミカン「桃は…あの子はね……」
ミカン「むしろ、桜さんはその事を気に病んで……!」
〜いっぽう 喫茶あすら〜
白澤店長「いやぁ、一ヶ月間お疲れだったね。リコくん」
リコ「いんやー。なーんも疲れとらんよ」
白澤店長「そうなのかい?せっかくだから君に特別休暇でも、と思っていたのだがね」
リコ「あははー。そんなんもろたらバチあたるわー」
リコ「──どっこもケガしとらんお子様の膝小僧にバンソーコ貼るのに、なにを疲れる事があるのん」 桃「シャミ子、今まで本当にごめん!」
シャミ子「……やめましょう。その話は」
シャミ子「だって私達、以前と比べてなにかを失いましたか?なにも失っていませんよね?」
シャミ子「むしろ、前より絆が深まったって、私はそう思っています。桃もそう思ってくれたら嬉しいです///」
桃「シャミ子…」
シャミ子「帰りましょう、ばんだ荘に。今日はみんなを呼んで桃の快気祝いを開くんですよ!」
桃「…それもいいけど、その前に、二人っきりになれる場所に行かない?」
シャミ子「えっ…」ビクッ
桃「なに?もしかして怖いの…?」 桃「そう、だよね…シャミ子にあんなヒドイことしたんだもん。警戒されて当然か…」シュン
シャミ子「い、いえっ!そんな!」ブンブン
シャミ子「ぜんぜん怖くないです!だって桃のこと、信用してますから!」
桃「……いいんだね?」
桃「シャミ子が、私と二人きりになることに、同意したんだからね?」
シャミ子「は、はい……」
桃「あとさ ″信用してます″は大袈裟じゃないかな。たかだか二人きりになるだけだよね?」
桃「そういう風に言われると、むしろ安っぽく聞こえるし、かえって傷つくんだけど」
シャミ子「あぅ…ご、ごめんなさい……」
桃「そういう細やかな気配りができるまぞくになりなさいって、私いつも言ってるよね?」
桃「この一ケ月間、いったい何をしてたのかな…?かな…?」
シャミ子「そ、その…色々と至らなくてごめんなさい。ぜんぶ、私が悪いんです……」
桃「はぁ〜っ…まぁ、今そんな話はいいや。とにかく、誰も邪魔が入らないところに行こう」
桃「シャミ子には ″ぶつけたい想い″が山ほどあるんだから……」
逃げろシャミ子!女に手を挙げるような奴には、いかなる理由があっても同情の余地なんて……
ええい!そんな説明はいい!とにかく大至急そいつから離れるんだ!! ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています