泥船で漕ぎだした時は驚いたものだ
ええまあそうでっしゃろな
櫂の音はおおげさでしばしば私の眠りを破った
えらいすんまへんなへへへすんまへん
沈んでやしないかと私が問うと彼は膝の上まで泥だらけになりながら
えらいこっちゃえらいこっちゃどないしたらええんやワテわかりまへんわアすんまへんなア
彼は死んだが私は呼吸している
つごう悪いのんとちゃいまっか。あんさんの命、ワテのもんちゃいまっか。ワテ知ってまんねんで
進路を変更するには櫂を操らなければならないが私には扱えない
ワテのもんや言うとりまっしゃろ!!!!!
窮地を脱して帰路に就いた。