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小説書いたんだが評価してくれ
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2022/05/03(火) 22:25:10.387ID:rYfzOfnB0
幼い頃から、彼は天翔る龍に憧れていた,
その雄々しくも自由な翼は、幾度、遠目に眺めても飽きることなどなかった。
彼らが舞う空の世界は、どんな痛みも悲しみもない場所に違いないと、そう羨望して夢を馳せた。
少年期の喜びといえば、ただひたすら模型の龍や飛行機と、あとは飛行士の伝記に胸ときめかせていた記憶しかない。
もしも人生に意味や価値があるのなら、憧憬を、ただ憧憬のままに終わらせていい道理がない。
だから自分は当然の如く、いつかあの空に辿り着くのだと――そう少年は信じて疑わなかった。
やがて成長し、世間の道理をある程度弁えるようになってからも、葛藤などは微塵もなかった。
平民が飛行機の操縦を習得したいと思うなら、道は空軍への入隊しかない。
進路を巡る両親の意見などいっさい斟酌することなく、彼は兵科を進んだ。
ごく個人的な主観で語るなら、至極安易な日々だった。
それがいつか大空に至る道なのだと弁えている限り、どんなに厳しい修身も、彼は辛苦と感じなかった。

珍しそうに周囲を見回しながら歩いていれば、それはもう配属初日の新兵が迷子になっていますとプラカードを掲げているも同然だ。
おそらくは宿舎を探しているのだろうが、それがなんで格納庫に迷い込んでくるのかと呆れつつ、一人の航空士官が自機の整備点検の手を休め、声をかけた。

「よう新入り。今日からウチの隊に配属されるってのはお前だな?」

声をかけられた新兵は緊張も露わに背筋を伸ばし、溌剌と敬礼する。

「は、はい! 本日付けで着任しました、カール・シュニッツ伍長であります。よろしくお願いします!」
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2022/05/03(火) 22:25:38.738ID:gm9FI5mgM
末尾Kじゃない
やり直し
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2022/05/03(火) 22:25:49.034ID:rYfzOfnB0
あ、つい先日までの自分を合わせ鏡で見るようだと苦笑しつつ、声をかけた士官も、こちらは少しだけ手慣れた敬礼を返す。

「ゲプハルト・ミュラー。少尉だが、俺も先月来たばかりの新入りだ。……お前さん、訓練校から直に配属だって?」
「はい、そうですが……」

なんら含みがあるようには見えないカールの返事に、ゲプハルトはますます胡乱そうに眉根を寄せる。

「あと二年寄り道して士官学校に行っとけば将校コースだろうが。何考えてんだお前?」

戦時下でもあるまいに、歴としたエリートコースである飛空士養成学校を出ておきながら、そのまま士官候補生への道を辿らずいきなり着任するというのは、まず普通に考えて有り得ない。
後々の待遇を考えれば、たとえ借金をこしらえてでも学費を工面して士官学校へ進むのが当然である。
だがカールは、おそらく行く先々で同じ質問を浴びせられてきたのだろう。
もう説明にも慣れたとばかりに苦笑して、ただ一言だけで回答した。

「自分は、飛行機に乗れさえすればいいんです」
「ふむ……」

これはまた、とんだ変人が来たものだ――ゲプハルトは歎息した。
そう思って見れば見るほどに、いかにも和やかで人の良さそうな笑顔といい、まるで兵士らしからぬ居住まいの男である。
果たして軍隊という組織の中でうまくやっていけるのかどうか、先行きを不安にさせる雰囲気がある。
こいつは何かにつけて、面倒を見てやらねばならんのだろうな、と、そう覚悟を決めたゲプハルトは、ひとまず手元の作業を切り上げることにした。

「来いよ、どうせ宿舎がどこだか分からなくて迷ってたんだろ?」
「はい……あの、どうして解ったのでありますか?」 「お前の顔にそう書いてある。こっちだ。隊の仲間にも紹介してやる」
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