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(’-’*川ジョセイラシサハカミノメグミラシイデスヨ🐰✨ショウセツカイテミタオ🍹マタ♪
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0001jc!ダオ
垢版 |
2022/02/25(金) 21:28:22.401ID:Hoa4Awgg0
唇にやさしく指をして、少女はその時なんの故なくぼうっとして、そして闇夜の窓にふらりとひとり、時折なぜか笑うような妖しく鋭い夜風にゆっくりと静かにその目をやりました。それはともかくうぬぼれや臆病というよりはあまりにも一種異様なはにかみ、あるいはすこしだけ怖いような有頂天の慰み、小さな血のような色の赤く儚い花の咲く人間の本当の幸福なのだと少女は悟りました。
ふたたび着かえの用意を始めながら、少女はすこし上気のもれるようなその身体のまだドクンッドクンッといって脈打つのをあわただしくもまたひそかに感じてハッとしていました。とにかく、扉の向こうのミトに今なにか応えておかねばならないというようなあたりまえの、いつの間にか誰もが身につけるどうすることもできないひとつの習慣というか、すこし抜きさしならないいかにも不思議な義務感というようなものでなんとなく、煙のように星明りの残りを集めてしじまのなかにも奇妙に奥深い、春山の夕闇のようななにか好奇心のようなものに満ちていつしか肌にもなじんで離れがたいその人肌のように優しい闇の中に、ようやく常のようにやわらいだ、少女らしく快活な、うたがう余地のないいつもの本当の落ち着きというようなものをほのかに照るようで温かいそのみずみずしい血の気というようなものとともに美しい表情にふたたびもたらされたのを少女自身ようやく知らされます。少し白々しく、恐ろしい、真新しいように感じるほかならないいつもの自分の部屋の扉の取っ手。それとなく呼吸を整える少女。
「もうすぐ夜明けね、すぐいくわ」
扉を開けてしまってすました表情でいつもの通り、いつもの業務のような言葉を交わしてからしずかにその扉を閉めて、またフっとひと息ついてすこしたたずむと、ふたたび温かいその肌着を名残惜しげもなく素早くはだけて急いで着かえに戻るのでした。どうしたって夜の闇にもその目に映る、動揺をさそう呪いの石膏のようなその自身の身体に心を鎮めつつ。
お城の広間に通じる入口は当然のように人通りはなく、時折風で大きく苦しいようなうなり声を上げましたが慣れたもので二人は見向きもせず、見張り台までの長いらせん階段目指してすこし急いで駆けていきました。なぜか風はわずかにすこしめずらしく冷たく、断末魔を上げながらまばらに散らされた元気なまだ子供のような多くの小さな木の葉をむりやりひきはがしてその舞いに巻き込んで、それが時折少女の赤らんだ頬をかすめるのでした。
らせん階段は慣れた体にもかろうじてたどれるほの暗さで、お城の石灯籠は冷たい風の湿気からかいつからかぽつりぽつりとようやく灯されるかぎりでした。見張り台はそのしばらくいったすぐ上に大きなかがり火を焚いて空にそびえているはずで、その空をぼんやり照らす賑やかな光と冷たい頬にたたくように触れる熱いくらいの温もりが今から恋しい心持で少女は先を急ぎました。

残念ながら今日はここまでです。
何らかんらで谷はそのあと何らかんら救われます。予言者のおばあさんもいます。脇を固める子供もいます。
「姫様、青い異国の服を着ているの」
「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし。おお、古き言い伝えはまことであった…!」
青い服の少女は微笑みながらなおも金の光の上を歩きます。生まれたばかりの天使のように。

おわり
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