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(’-’*川コクジンハアマエッテキイタキガシマシタ✨🐰👼✨ショウセツカイテミタオ🍹マタ♪
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0001jc!ダオ
垢版 |
2022/02/23(水) 21:23:04.080ID:MfFmCc7X0
「姫さま、姫さま…!」
なんとなくベットの上で目を覚ました少女が、人生に対する疑いや神さまに対する信仰のようなこと、そしていかにも紳士なユパの姿などを絵本のページをめくるようにゆっくり、自分の人生の純潔でしたがってきっと華やかな運命のようなものをさかんに想像してはああでもないこうでもないというように無駄というべきような興奮の中、幸せというべきというような心地よい時間のうちに退屈もせず夢中の考えをめぐらせながらアッという間にまた眠りにつくその間際の、すこし風の強いいつものように変わりのない静かで安らかな夜半のかすかに明けるわずか前のことでした。安心とも失望ともつかない、すこしさみしいような気分でその時分には自然と目を覚ますことの多かった少女はその時、自分の部屋の扉を小さく、ふと耳をすますと何度も何度も遠慮深くもそっと叩いて続けて自分を呼ぶ城小父ミトの声をすぐにも認めました。ただそれだけのことですが、大切なこの信頼というべきようなもののありがたみが温かく、なんとか可能なかぎりそれに報いようというようなフと恐ろしいほど愉快にみなぎる自分ながらの若い力がスッと全身に湧いてみるみる強くなるのを感じます。
臆病すぎてはいけませんが、時折迷い込む腐海の住民がしばらく谷にたたずむようなことだけでもそれはもう大変な、あまりに堪える村人たちのその新たな細心の注意と労力などにつながることは疑うまでもありません。
少女はもう自分の甘い夢をすべて破って忘れてしまったかのように素早く、ただちに残らず自分の衣服をあつめては身に着け始めました。そして扉に向かって応えます。
「なあに、ミト…?」
「ゴルが、風が匂うというております…!」
おかしなことに少女はその時、自分のすこし大人の男性に対する切ないような警戒心がなんとなしにひそかに甘く、嘘のようにその心をとらえるのにその後からあわてて気づくのです。
唇にやさしく指をして、少女はその時なんの故なくぼうっとして、そして闇夜の窓にふらりとひとり、時折妖しく鋭い夜風にゆっくりと静かにその目をやりました。それはともかくうぬぼれや臆病というよりは一種異様なはにかみ、あるいはすこしだけ怖いような有頂天の慰み、小さな血のような色の赤くはかない花の咲く本当の幸福なのだと少女は悟りました。ふたたび着かえの用意を始めながらすこし、少女は上気のもれるようなその身体の脈打つのをあわただしくもまた感じてハッとしていました。
「もうすぐ夜明けね、すぐいくわ」
扉を開けてしまってすました表情でいつもの通り、いつもの業務のような言葉を交わしてからしずかに扉を閉めると、ふたたび素早くその肌着を脱いで急いで着かえに戻りました。
お城の広間に通じる入口は時折風で大きく苦しいようなうなり声を上げましたが、二人は慣れたもので見向きもせず、見張り台までの長いらせん階段目指してすこし急いで駆けていきました。なぜか風はわずかにすこしめずらしく冷たく、断末魔を上げながらまばらに散らされた元気なまだ子供のような多くの小さな木の葉をむりやりひきはがしてその舞いに巻き込んで、それが時折少女の赤らんだ頬をかすめるのでした。

残念ながら今日はここまでです。
何らかんらで谷はそのあと何らかんら救われます。予言者のおばあさんもいます。脇を固める子供もいます。
「姫様、青い異国の服を着ているの」
「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし。おお、古き言い伝えはまことであった…!」
青い服の少女は微笑みながらなおも金の光の上を歩きます。生まれたばかりの天使のように。

おわり
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