0001jc!ダオ
2022/02/08(火) 21:22:39.890ID:UNeguq0t0「気を付けてください。さっきまで暴れていたので…」
看守の声が来訪者を知らせます。アスベルかとも少し期待しましたが、やはりそうではなさそう。では誰なのか、少女にはもう少しの見当もつきませんでした。手の間を抜けたテトが髪の毛の中で外を覗いながらうなじのあたりに小さなその温かな手を当ててくすぐるようでした。希望の訪れを知らせて言葉もなく懸命に勇気づけてくれているよう。ナウシ●は今、感情を殺してつくねんとただ祈るだけしかできませんでした。
知らない足音が部屋の中に入りました。小さな足音で、もしかしたら女性かも知れない。弱り切ったナウシ●はそう思うと少し安心しました。例えここでこの人物に命を奪われることになろうとも、男性よりは女性の方が良い。追いつめられたペジテにもまだ良心があったことに少女は静かにそっと神さまに感謝しました。ところが、もうひとり別の存在をすぐさま慌ただしい足音が知らせたのです。
残念ながら今日はここまでです。
何らかんらで谷はそのあと何らかんら救われます。予言者のおばあさんもいます。脇を固める子供もいます。
「姫様、青い異国の服を着ているの」
「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし。おお、古き言い伝えはまことであった…!」
青い服の少女は微笑みながらなおも金の光の上を歩きます。生まれたばかりの天使のように。
おわり