女上司「あー、終電出ちゃったね」男「まさかあんた……“能力者”か!?」
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ゴトゴトゴト…
女上司「あー、終電出ちゃったね」
男「惜しかったですね」
男「……ん?」
男(時刻表によると終電発車時刻は0時10分、今の時刻は0時20分。特に電車遅延の情報はない)
男(ということは、今の電車は……!?)
男「まさかあんた……“能力者”か!?」
女上司「あら、鋭いわね。バレちゃったか」 男「このところ起きてる“人が電車に轢かれてるような”連続殺人、あんたの仕業だったのか!」
女上司「その通り」
男「なら……捕まえてやる!」
女上司「できるかしらね」クスッ
男「!?」
女上司「私の能力は『いつでも終電を出す能力』……これがどういうことか分かる?」
男「……?」
女上司「つまり、いつでも電車を出せるってことよ!」 女上司「発車ァ!」
グオオオオオッ!
男(目の前にいきなり終電が現れた!)
男(速ッ)(回避――)(無理)(激突……!)(死)
ドゴォンッ!!! 病院――
妹「お兄ちゃんは!?」
友人「容態はどうなんでしょう?」
医者「全身を強く打ち……意識不明の重体です」
医者「仮に命が助かっても、意識が戻るかどうか……」
妹「そんな……」
友人「妹ちゃん……」
友人「あいつを……見せてもらうことはできますか?」
医者「本来はできませんが、かまわないでしょう」 男「……」
妹「お兄ちゃん……!」
友人「くっ、ひでえ……ボロボロだ……」
男「……」ボソッ
妹「?」
男「で……ん……しゃ……」
妹「電車!? 今、電車って!」
友人「無意識の内に俺らにヒントを残してくれたのか!」 友人「これでなんとなく分かった、敵の能力!」
妹「電車……ですね」
友人「これ以上病院にいても、あいつにしてやれることはない。俺たちは力を蓄えよう」
友人「力を蓄えて、敵を倒し、あいつが目覚めるのを待つんだ!」
妹「はいっ!」
…………
…… 友人(敵との戦いに備えて俺がやることは……筋トレ!)
友人(腕立て伏せ!)グッグッ
友人(スクワット!)グッグッ
友人(ダンベルを持ち上げ!)グイッ
友人(バーベルを持ち上げ!)グンッ
友人(ひたすらに己を鍛え上げるッ!) 友人(妹ちゃんはどうかな?)
妹「……」スタスタ
『囲碁教室』
友人(囲碁教室!?)
友人(なんであんなところに? 囲碁を通じて視野を広めようとかそういう狙いか?)
友人(まあ、彼女には彼女なりの戦略があるのだろう。今日も俺は筋トレするぜ!) やがて――
友人「どうだい、妹ちゃん」ムキッ
妹「すごいです! ボディビルの大会に出てもダントツで優勝できますよ!」
友人「君の仕上がりはどうだい?」
妹「もう少しというところなんですけど……」
友人「分かった。じゃあ俺一人でちょいと敵討ちに行ってくるよ」
妹「危険です!」
友人「心配いらない。俺の筋肉に勝てる奴はもはやこの世に存在しない!」 女上司「あなたは?」
友人「あいつの友人……といえば分かるだろう」
女上司「ああ、彼ね。今も病院で生死をさまよってるらしいわね。どうせ助からないだろうけど」
友人「貴様……!」
友人「俺の筋肉で、貴様の悪行を打ち砕いてくれるわ!」ムキッ
女上司「たかが筋肉で私の能力に“勝とう”だなんて、まさしく“下等”ね」
友人「ほざけェ!」 女上司「発車ァ!」
グオオオオッ!
友人(終電が出てきた! だが、予想通り! あいつのヒントのおかげだ!)
ガシッ!
女上司「受け止めたですって!?」
友人「……」ニヤッ
友人(このまま一気に押し戻してやる!) 友人「ん……?」グッ
友人「あ、あれ……?」ググッ
女上司「あなた、電車をナメすぎ」
女上司「電車は一両あたり40トンはあるのよ。ちなみに私の終電は十両編成。人間がちょっと体を鍛えたぐらいで押し返せるわけないでしょ?」
友人「な……!」メキメキ…
女上司「トドメよ」
友人「うおおおおっ!」メキゴキ…
ドゴォンッ!!! 医者「重体です……」
友人「うう……」
妹「友人さん……」
友人「すまない……俺一人でカタをつけたかったんだが……」
妹「いえ……よく頑張ってくれました。お兄ちゃんもきっと喜んでます」
妹「あいつは今日も殺戮を繰り返してる。これ以上野放しにはできない」
妹「女上司は……必ず私が倒してみせます!」
友人「た、頼んだよ……」 女上司「今度は誰?」
妹「あなたが電車で轢いた男の妹よ! よくも友人さんまで倒してくれたわね!」
女上司「あなたたちも懲りないわね」
女上司「まあいいわ。あなたを倒したら、入院してる残り二人にもトドメを刺す」
女上司「そしたら邪魔者のいない世界で、私は終電パワーでこの国に君臨するのよ!」
妹(お兄ちゃん、友人さん、見てて。私、必ず女上司を倒す!) 女上司「発車ァ!」
グオオオオッ!
妹「……」パチッ
スルッ
ドガシャァンッ!
女上司「な……!? 私の終電が……!」
女上司(妹にぶつかる前にコースを変えて横転した……!) >>1
広告代理店です。あなたのレスは素晴らしいので、ドラマ化しても良いですか? 女上司「今度こそ……発車ァ!」
グオオオオッ!
妹「……」パチッ
スルッ
ズガァンッ!
女上司「どうして!? なぜまっすぐ走らず、ぶつからないの!?」
妹「……」
女上司(さっきから鳴ってる『パチッ』という音……まさか!?) 女上司「置き石か!」
妹「当たり」
妹「あんたの出した終電の前に置き石をして、横転させてたの」
妹「私が囲碁教室に通ったのは……電車の天敵である置き石を極めるため!」
妹「あんたの電車は私には通用しない!」
女上司「そう何度も同じことができるものか!」
グオオオオオッ!
スルッ
ドガァンッ!
妹「無駄だってば。置き石を極めた私にもう電車は届かない」
女上司「うぐぐぐぐ……」 女上司「発車! 発車! 発車ァ!」
女上司「……出ない!? SP(終電ポイント)切れか!」
妹「どうやら一度に出せる終電は三本までみたいね」
女上司「ぐぬ……」
妹「これまで色んな人を終電で轢き殺した罪、今こそ償わせてやる!」
女上司「うふ、ふふふ……」
妹「?」 女上司「甘いわね、お嬢ちゃん」
妹「何がよ?」
女上司「横転させた電車には……当然乗客がいるのよ?」
女上司「もちろん、ただの乗客じゃない。私が生み出した乗客なんだから、全員私の使い魔みたいな存在なのよ」
ウゾウゾ…
妹「な……!」
女上司「さあ、みんな! この妹をなぶり殺してあげなさい!」
乗客A「ウオオオオオン……」
乗客B「コロス……コロス……」
ウジャウジャ…
妹(どうしよう! 置き石じゃこいつらを倒せない!) __
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ヽ_/厂_/ |_」l__,/〈_____/`ー'〈_/ バキィッ!
乗客A「グゲッ!」
妹「あっ!?」
女上司「なにっ!?」
友人「へへへ……退院してきちまったぜ……」
女上司「バカな! 瀕死の重傷のはず!」
友人「筋トレは……無駄じゃなかったってことだな……。体はボロボロでも、こんな乗客どもなら蹴散らせる……」
友人「今だ、あの女上司に強烈な一手をお見舞いするんだ!」
妹「はいっ!」 妹「だああああっ!」ダッ
女上司「この気迫……プロ棋士にも匹敵する!」
女上司(だけど甘いのよ! 私はまだほんの少しだけSPを残している!)
女上司「発車ァ!」
グオオオッ!
妹「!」
女上司「一両編成の小さな終電だけど……これを喰らえばひとたまりもない! 置き石も間に合わないッ!」 妹「読んでいたわ」サッ
女上司(かわした!?)
妹(ありがとう、囲碁教室の人たち。おかげで鋭い“読み”を手に入れることができた)
女上司「ひいっ!」
妹「喰らえッ!」
妹「あんたの天元(のうてん)に……トドメの一手を!」
バチィンッ!
女上司「が……!」
女上司(私の頭に碁石がめり込んで……)
メキメキ…
女上司「ぐはぁぁぁ……! 終電を支配し、自在に生み出せるこの私がぁぁぁ……!!!」
妹「人生を……“投了”したようね」 乗客C「ギィィィィ……」
乗客D「グエェェェ……」
シュゥゥゥ…
友人「あの女が死んだら、乗客も消えていく……。全て、終わったんだ……」
友人「妹ちゃん、やったな!」
妹「はいっ!」
…………
…… 医者「奇跡です……! 奇跡的に意識が戻りました!」
妹「お兄ちゃん……!」
友人「戻ってきたか!」
男「二人とも……」
妹「お兄ちゃんのヒントのおかげで、あいつは倒せたよ!」
友人「妹ちゃんの強烈な一手が決まったんだ」
妹「ううん、友人さんがいなきゃ、私は乗客たちにやられてたよ」
男「とにかく、これ以上被害者が出ることはない……本当によかった……」 男「ところで……もう一つ俺に報告することがあるんじゃないか?」
妹「え……」
友人「流石に鋭いな、お前は」
妹「実は戦いをきっかけに、私と友人さん付き合ってるの」
友人「もしかしたら、俺がお前の弟になる日も近いかもしれねえ」
妹「……もう! 友人さんったら!」
男「二人の幸せそうな姿が、俺にとってのなによりの回復薬だよ」
― 完 ― / / / | _|_ ― // ̄7l l _|_
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