小説書く
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先生は今日も白衣を着て、髪を一つ結びにしていました。 「はいみんなぁ、今日のデザートの牛乳寒天をお持ちしましたぁ!」いつもどおり園児たちは一斉に「きゃあああっ」と歓声をあげました。 先生の持つ銀色のお盆には牛乳プリンやヨーグルトやぶどうやいちごといったフルーツに混ざるように、白くて丸い牛乳かんのようなお菓子が載っています。 冷たくて甘くてプルルンッとしていて、とってもおいしそうなのです。 園児たちもきっと同じことを考えているに違いありません。 目をきらっきらと輝かせて「いただきまぁす!」といっています。 先生はまだ手をつけていない自分の椅子に座り、みんなの反応を見てからゆっくりと食べ始めました。 この人が本当に幼稚園教諭なのか、疑ってしまうほど様になってます。 やがて全員分の準備が終わると、園児たちの間で牛乳かん戦争が起こりかけました。 誰かが「これは私のだから!」といえば全員が一斉にそれに噛みつき、それを奪い合い奪い合う戦いが始まりかけたとき、いつも間に入ってきたのが、なんとその日に限って日吉先生だったんです。 彼女は普段より数倍も厳しい声で「コラっ!」と言い放ち、ピタリと争いは止みました。 先生は、さながらお母さんみたいに優しい顔をして、みんなに言い聞かせるのです。 「はいみんな、先生のぶんまで食べる前に、ちゃんとお祈りをしましょうねぇ〜」すると園児たちは皆そろって両手を組み、「おぉさま〜! みめぐみぇがあらぁしましぇんように……」(※神様、どうぞ良いご褒美を与えてくださるようお願いいたします)という決まり文句を言いました。 そうすれば食べ物を分けてもらえると理解しているからです。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています