## 第一章 呪力の覚醒

舞台は現代の日本。都内に住む高校一年生、虎杖 悠仁(いたどり ゆうじ)は、幼い頃に父親を亡くし、母親と二人で暮らしていた。悠仁は正義感が強く、仲間思いな性格で、幼い頃から弱きを助け、強きをくじくことを信条としていた。

ある雨の日、悠仁は学校からの帰り道、交差点で倒れている黒猫を見つける。傘も差さずに猫を抱えて雨に打たれていると、見知らぬ同年代くらいの少年が声をかけてきた。

「お前、猫が好きか?なら、あっちに猫カフェがあるから、連れて行ってやれ。」

少年はそう言うと、近くのビルの方へ歩き出した。不思議に思った悠仁が、猫を抱えて少年を追うと、少年は古めかしい建物の前に立ち止まった。

「ここは都立呪術高専。呪術師を育成する専門学校だ。俺はこの学校の生徒で、両面宿儺(りょうめんすくな)。お前は、その猫よりも、もっと助けが必要な奴を助けることになる。」

そう言って、宿儺は建物の中へと姿を消した。

猫を抱えたまま建物の中に入ると、そこは不思議な世界が広がっていた。和風の建物、奇妙な呪符、そして非日常的な空気感。

「ここは何処だ...?」

悠仁が周囲を見回していると、先ほどの宿儺が現れた。

「お前、まだここにいたのか。さっさと中に入れ。お前の身体はもう、普通の人間とは違う。」

「どういう意味だ?」

「いいから、ついてこい。」

宿儺に促されるまま、奥の一室に入ると、そこには呪力で封じられた箱が安置されていた。

「この箱の中に、史上最強の呪物が封印されている。お前は、その呪物と深い関わりがある。」

そう言って、宿儺は箱を開けた。中には、ミイラ化したような人物が横たわっていた。その人物の口元が、不気味に動いた。

「......虎......杖......」

ミイラ化した人物、両面宿儺が、悠仁の名前を口にした。

その瞬間、悠仁の身体に激痛が走った。視界が赤黒く染まり、身体が内側から破壊されるような感覚。そして、宿儺の指が、悠仁の口の中に入ってくる。

「お前は、俺の器となる。さぁ、喰らえ。」

そう言うと、宿儺の指が悠仁の喉の奥へと侵入してきた。