オールタイムベストを選ぶときでも、『雨月物語』とか『東京物語』とか『七人の侍』をどっか上位に挟み込んで、これで多様性、アジアの目配せはokとしてるようなのが多くてどうせ何本かしか日本映画を観てないんだろうなとバレバレなんである。小津を一本というと、『東京物語』(1953年)を挙げる人は多いのですが、『東京物語』が真の意味で優れた作品だということを説得的に論証した人は誰もいない。しかし、題名が非常に覚えやすいので、ベスト10に外国人も投票する時は『東京物語』と、みんな書いちゃう。けれど『東京物語』がはたして『晩春』(1949年)よりも、『東京暮色』(1957年)よりもいいのだろうか。