ヒロイン「こんなところに人が来るなんて珍しい」

そう言ってけらけらと笑う少女。日々のストレスに耐えかね、名も知らぬ土地を、あの世界から逃げるように彷徨っていた俺には、その笑顔がうらやましく思えた。

ヒロイン「どうしてここへ?」

「いや・・・ちょっと旅をしてて」

ヒロイン「そうなの?楽しそう」

彼女の目がまぶしい。単に嫌になって逃げたんだ、とは到底言えそうもない。

ヒロイン「もし時間があるなら、おすすめの場所を教えてあげる」

「いいのか?」

ヒロイン「うん、私もお気に入りの場所なの。着いてきて!」

そういうとすぐに駆け出してしまった。その背中を追うように俺も走り出す。そういえば走るのさえ久しぶりだ。最近は歩いてばかりだった。一体いつから俺は、走るのをやめたんだろう・・・。