勇者「魔王を倒しにきました」
村A(首都から20km)の住民「私の家族は皆殺されたんだ…勇者よ、頼んだぞ…!」

勇者「魔王を倒しにきました」
村B(首都から40km)の住民「奴らは共有林から勝手に薪を持っていきやがる、追い払ってくれ」

勇者「魔王を倒しにきました」
都市C(首都から100km)の住民「ああ、よくいかがわしい店を経営したりしてる奴らか?倒すってのはよく分からんけど頑張れよ」

勇者「魔王を倒しにきました」
村D(首都から150km)の住民「うちはそこに野菜を卸してるんだが…よく分からんが面倒ごとは起こさないでくれ」

勇者「魔王を倒しにきました」
都市E(首都から200km)の住民「最近そういうの差別になるからあんまり言わない方がいいと思うよ、それに倒すってどういうこと?」

勇者「魔王を倒しにきました」
都市F(首都から250km)の住民「え?どうして?」

勇者「魔王が人々を苦しめているからです」
住民「もしかして去年か一昨年まで流行ってた陰謀論を信じてる人?今そういうの言わない方がいいよ、頭おかしいと思われるから」

勇者「王のご命令です」
住民「王様はこの前から正気を失って入院してるでしょ
その少し前から様子がおかしかったとかで乱発された命令が見直されているところだよ、その命令も正気を失った頃のものじゃないの」

勇者「しかし実際に家族を殺された人々も」
住民「殺人事件なんて毎日おきてるじゃん、種族のせいにするのは差別でしょ」
勇者「何かがおかしい…何かが変わりつつある…魔王は軍団を率いて世界を征服するため人々を嬲り殺しにする巨悪のはず…」

???「募金をお願いします!」
勇者「ん?」
モンスター「魔王軍領地の復興のため募金をお願いします!」
勇者「モンスターだ!!」

住民「ザワ…何あいつ…ザワ…」
老人「おいあんた」
勇者「はい」
老人「子供もいるのに公共の場で差別用語を叫ばないでくれるか、迷惑だぞ」

勇者「いやしかし町中にモンスターが…」
老人「あんた差別主義者か、あんたみたいなのがいるから国がダメになるんだ」
勇者「いやそもそもモンスターを町に入れたら危険です!」
老人「頭がおかしいのか?警察呼ぶからな」

魔王「戦わずして勝つ、そして徳により治める
人間が生み出した統治術は素晴らしいのう!!」
???「そのとおりです陛下、もっと陛下の徳を広めるのです」