子どもの頃の話。
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子どもの頃、僕は2階建ての借家にすんでいた。
母親も仕事をしていたので、学校から帰っても自分一人のことが多かった。
ある日、夕方遅く学校から帰ってくると、家の中が暗い。
「おかあさ~ん」と呼ぶと、2階からか小さな声で「はあ~い」と
応える声がする。もういっかい呼ぶとまた「はあ~い」。
自分を呼んでいるような気がして、2階へあがる。
階段をあがったところでまた母を呼ぶと、奥の部屋から「はあ~い」と声がする。
奇妙な胸騒ぎと、いっこくも母に会いたいのとで、奥の部屋へゆっくりと
近づいていく。
そのとき、下で玄関を開ける音がする。母親があわただしく買い物袋をさげて
帰ってきた。「しゅんすけ、帰ってる~?」明るい声で僕を呼んでいる。
僕はすっかり元気を取り戻して、階段を駆け下りていく。
そのとき、ふと奥の部屋に目をやる。
奥の部屋のドアがキキキとわずかに動いた。
僕は一瞬、ドアのすきまに奇妙なものを見た。
こっちを見ている白い人間の顔だった。 中2のときに邪悪な力に憧れ、自らを背信堕落王の生まれ変わり、暗黒丸と名乗っていた。
常日頃からクラスで「僕の暗黒力を発動させれば、このクラスの人間を一瞬で皆殺しにできるよ」等の発言ばかりしていたため、当然のように激しいいじめや無視の対象になった。
学園生活があまりにつらかったため、自分の設定を「暗黒力を使い、魔の者からみんなを守る」に変更したが、周りの対応に変化ナシ。業を煮やした俺は期末テストの最中に勢いよく立ち上がり、
優しい笑みを浮かべながら「みんな…大丈夫だ…俺は、俺はまだ戦える」と言い放ち、ベランダに駆け出して、ドラゴンボールの気を溜めるようなポーズで「我が名は暗黒丸!きっとみんなを守ってみせる!うおぉぉぉっ!!」と大声で叫んだ。
13年たった今考えても大丈夫じゃないし、今でも地元には帰りたくない。
セーラームーンのカードを持ち歩き、やたらと取り出しては「これが俺の永遠の恋人」とか言っていたのも深刻なダメージのひとつだなー ____
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