エス氏は迷っていた。
それはとても重大な問題であって、とても簡単には決められない事柄だったからだ。

アイデバイスには様々な情報が表示されている。
残りの燃料、酸素、食料。
あらゆる方角に、寄港できるスペースセンターが表示されているが、そのどれもが赤色で表示され、たどり着けないことを示していた。

すでに救難信号は出しているが、この一帯を通過するスペースシップには、それを受信しても手を差し伸べてくれるような輩はいないことを知っているし、エス氏だってその一人であった。